201117

西 村 三千男 記

 

「旅の雑記帳・オランダ」 

 

第17話 ダッチの人々〜その1(割り勘?)

 

英語の「ダッチ (Dutch)」はオランダ風、オランダ人、オランダ語などを意味

する。「ダッチ」にはダッチロール、ダッチワイフなどネガティヴイメージの用

語が多い。これらは、17世紀前半、海洋国家として世界の覇権を握ったオラン

ダをライバル視した英国が、オランダを蔑んだ用語だとする説があるが、真偽の

程は知らない。オランダの友人たちは、「ダッチ」であることを卑下するどころ

か、むしろ誇っているようである。「我々ダッチは・・・」と言う風に自称する。

オランダを代表する会社 ”Royal Dutch Shell”も”Royal Dutch Airlines”も

堂々と“Dutch”を称している。

 

 「割り勘」のことを英語で「ダッチアカウント (Dutch account)」と云うそう

である。これは本当だろうか?オランダ人との長い付き合いで「割り勘」を見聞

することは少ない。「割り勘」とは、グループで飲食した支払い総計を、人頭の

数で割り算し、各人が均等に分担する勘定のことである。オランダ人の普通の支

払いスタイルはこれとは違う。各人が自分の注文した分を自分で支払う。日本人

がグループでランチの支払いするような場合に、レジで「別々」と云うのに相当

する。むしろこの「スプリットビル(Split bill)」がオランダの通常のスタイル

である。

 

 話が少々クドくなってくるが、ランチのみでなく、飲み会でも、懇親ディナー

でもこの「スプリットビル(Split bill)」がよく行われる。ビールなどの飲み物

も別々に注文し、お互いに注ぎあうようなことはなく、自分の分を別々に飲んで、

別々に支払うのである。中華料理でも、種々異なった皿を注文して、シェアーする

のではなく、各人が同じものを注文して、別々に食べて、別々に支払うのである。

 

オランダ人にも会社のアカウントで飲食する社交習慣はあるが、個人が個人に

飲食をおごる〜接待することは、非日常的で、やや特殊なケースであるようだ。

古い友人であるオランダ人、Mさんは毎年のように来日する。このシリーズ第5

話で触れたが、2002年にM夫人が急逝、現在は独身である。日本国内を観光

旅行する際に私たちは夫婦で案内することが多い。糸魚川、京都、奈良、姫路、

広島等々を三人で旅行した。旅行中の飲食(ランチ、ディナー、ティー)の勘定

は大抵西村が支払っている。これがMさんの理解を超えているらしい。三人分の

勘定を次々と西村が支払う不思議?「西村は会社を退職して何年にもなるが、今

も、会社の交際費アカウントを持っていて、それで支払ってくれるのか・・・」

と想像しているらしい。私たち夫婦がヨーロッパ旅行する際には、その返礼の様

に、Mさんは自分の三菱車をフル稼働して、私たちを歓迎してくれる。私たちが

滞在するデュッセルドルフへ気軽に来訪し、また私たちが希望するオランダ国内

のスポットへ案内してくれる。オランダ国内を旅行する際の飲食代を、どの様に

支払うか・・・にMさんは当惑している様だ。結局は、Mさんが支払う、西村が

支払う、別々に支払う・・・3つのパターンが並立している。

 

                              (つづく)