201110

西 村 三千男 記

 

「旅の雑記帳・オランダ」 

 

第22話 ダッチの人々〜その6(オランダめし対ベルギーめし)

 

朝一番のビジネスシーンでビールを勧められるお国柄がある。初めての往訪先で

応接の女性から「コーヒー、紅茶、コーラ、それともビール?」・・と聞かれた時

はびっくりした。それは何処の国だと想像されるだろうか?何でもOKの国、オラ

ンダではない。実は隣国ベルギーである。

 

ベルギーは知る人ぞ知る美食の国でもある。ヨーロッパで食事が美味しいとされ

る国はイタリア、スペイン、フランスなどラテンの国々、反対に食事が不味い国の

代表はイギリスとドイツと相場が決まっている。ベルギーは上述の通り美味しい国

に分類されるが、その隣国のオランダはドイツに負けず劣らず不味い国である。食

事の美味い〜不味いは主観と好みの問題ではあるが、私の主観は世間の評判と一致

する。また、このところオランダ〜ベルギーへ頻繁に出張する我が長男とも意見は

完全一致している。

 

オランダの食事を私の知る限りでザクッと概観してみよう。

l         オランダは勤労意識の高い国。それが、人々の食生活に色濃く反映している。

何よりも食を重視するラテンの国々、例えば、イタリアとは対極にある国柄で

ある。

l         オランダ式の朝食は「さあ、しっかり食べて、しっかり働こう」というスタイ

ルである。かって、ヨーロッパの朝食が Continental Breakfast という簡素な

スタイルが主流であった時代から、オランダでは朝食に卵料理、チーズ、ハム

類が付いた。今日では、世界中でホテルの朝食は省力化のためにブッフェスタ

イルとなり、食事の内容も豊富になっているが、オランダ式のリッチな朝食は

そうなるずっと以前からである。

l         上記の朝食とは対照的にランチは簡素である。サンドイッチかそれと同程度の

軽食を短時間にさっさと食べる。ビールを飲むようなことはまずない。

l         正式な夕食は超田舎風の亜流フランス料理となる。食前酒から、前菜に始まり

フルコースに白赤ワイン付きと豪勢である。何でもかんでもチープカントリー

でお値段は安い。一方、量は多いが味はイマイチである。

 

 これに対して、ベルギーの食事はどうか。

l         亜流フランス料理であるが、味は本場のフランスに勝るとも劣らない。

l         代表的な料理の一つ「ムール貝の白ワイン蒸し」はあまりに有名で説明不要。

l         フランス風生ハムはフランスと同じく「ジャンボン」と称し、味はフランスに

勝る。イタリアの「プロシュート」とは別種である。

l         フライドポテトの元祖はベルギーだという。ステーキやローストチキンに付け

合わせて実に良く食べる。味も良い。

l         ドイツ料理について繰り返し褒めて述べた「シュパーゲル」は、実はベルギー

の方が本場であって、料理法がドイツとは異なり、味はドイツに勝る。

 

オランダ〜ベルギーの国境を自動車で越えると、ベルギー側では車の振動が激し

くなる。道路整備が明らかに劣っているのである。そこでオランダ人は云う。

「ベルギー人は飲み食いに浪費して、道路などのインフラに投資しないから」と。

 

                              (つづく)