2011.3.3

西 村 三千男 記

 

「旅の雑記帳・オランダ」 

 

第6話 ヘンゲロ市〜その4

 

写真はデルフト焼の飾り皿である。

 

  

 (IMG_0868.JPG 拡大は写真をクリック) (IMG_0869.JPG 拡大は写真をクリック)

 

前回述べたディナーパーティ

20021011、@ヘンゲロ近郊のクラシックホテル Hotel Carelshaven/Delden

の席で、当時の工場長Stさんから“特に”プレゼントされたものである。

 

“特に”と云う訳は、そもそもこの飾り皿はAKZOの製塩部門従業員が定年退職

の際に贈られる記念品とのこと。番号が入っている。私に贈られたのは「327」と

ナンバリングされている。

 

中央の絵柄は製塩の原料塩水汲み上げの「ポンプ塔屋」である。当地の製塩原料は

地下の岩塩で、採鉱法は業界用語で“ソリューション・マイニング=溶解採鉱法”と

いう湿式法である。地下の岩塩層に水または温水を注入し、濃厚塩水として汲み上げ

る方法である。汲み上げた塩水は簡易精製で不純物を除去してから、多重効用蒸発缶

で製塩する。飾り皿の絵柄はその汲み上げ用のポンプ(水中ポンプ型式)をメンテナ

ンスする際に、釣り上げる滑車の架台を覆う塔屋である。釣りシロ分の高さがある。

ヘンゲロの岩塩地帯で約100m間隔の碁盤目状に「ポンプ塔屋」が配置された風景

を見掛けた。今日でも一部は実用に供し、他は記念のモニュメントとして保存されて

いる。

 

 ヘンゲロで岩塩層が褶曲して浅くなっていることは、飲料水の井戸を掘削していて

偶然見つけた。1886年のことと伝えられる。食塩採掘の3千年の歴史からみれば

比較的新しいとも云える。それ以前は生活必需品である食塩は隣国ドイツ等から岩塩

を輸入して賄っていたらしい。オランダ国内で食塩及び工業塩の生産が可能となり、

食塩電解からクロルアルカリ化学工業が展開された。また食塩の輸入国から輸出国へ

と変身した。オランダ国内の製塩規模は独、英、仏に較べると小さいが、AKZOは

海外M&Aによって世界最大の製塩企業となっている。

 

                              (おわり)