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放射性ヨウ素I-131

中村省一郎

 

放射性ヨウ素、I-131、はU-235の核分裂で2.878%の割合で生成される。つまり核分裂生成物の約3%がI-131である。揮発性が強いので、ガス状の核分裂生成物とともに、破損した燃料棒から逃げ出しやすい。しかしその半減期は約8日と短く、ベーター線とガンマ線を出して崩壊しXe-131になる。人体への損傷の90%はベータ線により起こり、残りの10%がガンマ線による。ベータ線は人体中では0.6mmないし2mmしか移動しない。したがって、 体外のI-131からのベータ線照射の影響は皮膚にとどまり、また甲状腺に集中したI-131のベータ線照射の影響は甲状腺内にとどまる。

 

このように半減期が短いので使用済燃料に含まれている量は、使用済になってからの日数にもよるが、一般的に言って非常に少ないと考えてよい。したがって、事故を起こした原子炉からもれたI-131の出所が炉心か使用済燃料のいずれかである場合、炉心から出た可能性が大きい。では炉からどのような経路で外へもれたかは、炉心に注入している海水をどのように炉の外に出しているかの説明がまったくないので分からない。

 

一方、福島原子炉のように、使用済燃料プールに使用中の燃料も入っていた場合には、その貯蔵期間により、使用中の燃料から放出された可能性も否定できない。

 

I-131がほうれん草、水道水などで検出されているが、もし原発に近いどこかの一箇所で毎日測定された結果をグラフにしたものがあれば、原発からどのようにI-131がもれたのかを知るのに役立つが、そのようなデータは公表されて居ない。

 

ほうれん草、水道水に入ったI-131も、原発に残っているI-131も崩壊により8日毎に半分に減ってゆくので、間もなく問題にならなくなるであろう。