第三号炉の爆発後の状況と予測

 

第三号炉の爆発とそれに続く放射能レベルの増加で、事故処理係員の脱出が避けられなくなり、原子炉は緊急給水の継続も望みがなくなった。その努力もなくなっては、あとはなるがままに任せるより仕方がない。第三号炉の爆発が起こるまでは、緊急給水により、何とか最悪の事態は避けられるのではないかとの望があったが、それは空しい夢であった。

 

問題は原子燃料に含まれる核分裂生成物の崩壊熱(平常運転の出力の5%)を取り去る緊急給水がなくなれば、今後どうなるかである。図1に原子炉(Reactor core)PRV, 主要配管が示されている。

 

Coreの水がなくなれば、燃料棒の温度が上がり、被服(ジルコニウム合金)が破れ、その中にあるUO2ペレット(直径、長さともほぼ1cm)が露出、あるいはくずれて炉の中を落下はじめる。1~3号炉ではすでにこの状態が考えられる。炉の下方の燃料棒が破損して居ない場合は、崩れたペレットは下方の燃料棒にささえられて、炉心内にとどまるであろう。しかし、下方の燃料棒の大部分が破損すれば、原子炉制御棒かその駆動のためのシャフト(24cm間隔の格子状に並んだステンレス製の棒)の間を落ち、RPVの底にたまるであろう。

 

この段階で、もし水があってホウ酸が混じっていたら連鎖反応臨界にはならない。しかし緊急給水による水の連続した供給がなければ、やがて存在する水は蒸発して、冷却がなくなったUO2のペレットの温度は上昇を続け、やがてはRPV(圧力容器、6インチ厚のステンレス製)の底を融かし、井戸みたいな空間を落ちて格納容器、(Plant Container) と呼ばれるコンクリートでできた球形の底の床にたまる。この部分が厚くなっているのは、Core Catcher とよばれ、どけた炉心材料がたまることを考慮して設計されている。

 

Core Catcherは相当よく研究された成果にもとずいて設計されているが、これまでに事故がそこまですすんだ経験がないので、どこまで持ちこたえられるかの歴史がない。チェノービルでは格納容器(Plant Container)はなく、まったく構造が違ったのでBWRではチェノービルの様には成らないと考えられている。しかし、熱のためここを突き抜けたら、あとは地中でにもぐるだけで何の防御もなく、チェノービルを似たことに成りかねない。

 

しかし今回チェノービルより悪いことは、給水がなくて全炉心溶融に近いのは地震で運転が止まった1~3号機だけでなく、補修中だった4~6号もやがて同じ状態になる見込みであることだ。これは、電力、上水道はすでになく、補修員が避難してだれも手をほどこせなければ、いずれその運命にある。

 

もしUO2ペレットが溶融すれば、大量の核分裂生成物が放出され、格納容器(Plant Container)はかなりそれを保持するであろうが、それでも外に漏れることには違いない。しかも、第2号炉ではすでに格納容器が破損していると言われている。

 

いまのところ、これ以上のことは分からない。

 

 

図1

 

 

 

File:BWR Mark I Containment sketch with downcomers.png図2

 

  •  File:BWR Mark I Containment, cutaway.jpg図3

cutaway diagram   

 

 

日本原子炉の総括情報

http://www.world-nuclear.org/info/inf79.html

 

中村省一郎 3-16-2011