チェルノービル原子炉とLWRの比較

 

チェルノービル発電所がい4号炉は1986年史上最大の事故を起こした原子炉である。福島原子炉の事故に際し、チェルノービル事故のようなことは絶対に起こらないと何度もいわれた。それではチェルノービル事故とは何だったのか。

 

File:RBMK reactor schematic.svg

             RBMK http://en.wikipedia.org/wiki/RBMK

 

チェルノービル原子炉の概要

 

上図はチェルノービル原子炉で採用されたRBMK型原子炉の説明図である。黒鉛は中性子減速剤として用いられており、その中の穴の中を制御棒が通っている。一方原子炉炉心には多数の管が通っていて、燃料棒はその管の中央に設置され、また冷却水が管の中で燃料棒の周りを上向けに流される。冷却水は燃料棒に接触して上向きに流れる間に燃料棒に熱せられ蒸気になる。その蒸気は蒸気分離機で液体と分離され、タービンへと流れる。一方タービンで凝縮された水は炉の外から供給された冷水と混ざり、ポンプによリ炉心の底から炉に再び入る。

 

冷却水が炉内で沸騰するところは沸騰水形の原子炉(BWR)と似ているが、これから述べるように決定的に異なるところがある。その一つは黒鉛を中性子減速剤として用いていることで、そのためにBWRより遥かに低い濃度のU-235の燃料を用いることが出来る。黒鉛を使うとPu―239の生産量が高くなるので、Pu欲する国には都合がよい。

 

この炉の安全上の大きな欠点は、出力の低い時原子炉反応度の出力係数(power coefficient of reactor reactivity 以下略して出力係数と呼ぶ)が正になることである。出力係数というのは分かりにくい専門用語であるが、出力係数が正であると、運転者が炉の出力を増したとき、さらに出力が増し、悪くすると出力を増し続けて炉が止まらなくなる傾向が起こり、炉の出力の不安定性が生じる。このような炉では、制御棒の操作が極めて重要に成るが、操作の結果の予測がつきにくく困難な仕事である。

 

黒鉛を中性子減速剤を使わず、水だけで中性子減速を行っているPWRやBWRでは、原子炉反応度の出力係数はいかなる場合でも負であって、運転者が炉の出力を増した時このような不安定性は絶対に起こらない。

 

(続く)