宇田川榕菴『舎密開宗』を読む(3)気体と水の化学

 

武山高之(2011.8.22記)

 

今回は『舎密開宗』内編第2巻には「気体と水」の化学について、取り上げられている。

気体については、主にラボアジェの成果が紹介され、水については、ボルタの電堆と水の電気分解といった電気化学の成果が紹介されている点が注目される。

 

31章~35章 酸素

 34章には「爇 物量を増す」として、1774年にラボアジュが、「燃焼は可燃物と酸素の化合である」として、可燃物は燃焼によって重量を増し、空気はその容量を減じるという「質量保存の法則」を説明している。

 35章には、「酸素 瓦斯嘘噏を利す」として、酸素が動物の呼吸にとって、重要であることを説明している。

 

36章~37章 窒素

 窒素中では可燃物は燃焼せず、動物は窒息すると説明している。

 

39章 大氣分離

 1778年にラボアジェが「空気は窒素と酸素の混合物」と報告した内容の紹介である。窒素と酸素の比率は、7919と記載されている。

 

40章と35章 呼吸

「嘘噏之氣」という難しい言葉を使い、呼吸を説明している。宇田川家は蘭学の家系であり、榕菴自身も医学・薬学・植物学に通じていたので、各分野の専門用語に通じていたのだろう。

  

41章~45章 水素

 水素の記載である。1785年にラボアジェは赤熱した鉄管に水を通すと水素が発生することを見つけているので、水素も当時の化学者には馴染みのガスになっていたのだろう。

 

46章~50章 水

 49章には、「越列機(エレキ)を用いる法」として、水の電解法が紹介されている。

 50章には、「福爾答(ボルタ)氏の格羅母を用いる法」として、ガルヴァーニの動物電気から繋がるボルタの電堆の紹介がある。

調べてみると、ボルタ電堆の発明は1800年、ニコルソンのボルタ電堆を使った水の電解は1801年である。1808年にはデーヴィの『電流の化学作用』は刊行されている。

序ながら、オランダ人から静電気発生器エレキテルが幕府に献上されたのは、1751年である。平賀源内もその頃の人である。 

             (第3回 おわり)