Asahi.com に次の記事が見つかった。全般的状況の把握は概して正しく役に立つ記事である。しかし、第1、2号炉の使用済燃料プールへの考察がまったく欠けている。第1号炉での爆発は、最初は原子炉の中で発生した水素と考えたが、第3、4号炉の爆発から考えて使用済燃料からの水素が原因であったことが推定される。どこにもそのような情報がないのは、まったく忘れられているためではないだろうか。

朝日新聞の別の記事によれば、2号炉の炉内の燃料は全体が水に浸からない状態のままだというが、何日もそのような状態で続くわけはないから、すでに燃料棒は崩れて下に落ちてしまったはずである。そして炉の下部あるいはさらに下に落ちれば水に浸かるので制御棒駆動機構などに引っかかって何とか冷却されて、圧力容器を貫通しないで済んでいるのではないだろうか。もしそうだとすれば、TMIの事故と同じ状態にあるといえる。

これは溶融まであと一歩の段階できわめて危険な状態である。また他の炉でも似た状態にあるか近いと考えるのが正しいのではないかと思う。

第一日目から現在のような政府の緊張感とすばやい処置が必要だった。米国からの事故対処にかんする援助を断ったそうだが、それが手遅れに大きく寄与しているのではないかと思われる。

中村

http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103180131.html

最悪回避へ最終局面 福島第一原発事故

2011318

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 福島第一原発の状況は、事態悪化をここで食い止めるか、放射性物質の大量放出に向かうかという剣が峰に立っている。自衛隊、警視庁なども活動に加わり、総動員態勢の様相もでてきた。

 使用済み核燃料は、炉心にある燃料ほどではないが崩壊熱をもつ。3、4号機の貯蔵(冷却)プールでは水の循環装置が故障して水温が上がり、水が減っているようだ。

 ここに放水や電源の復活でたっぷりの水が入ると、燃料は冷やされ事態は落ち着く。

 使用済み燃料は高レベル放射性廃棄物で、極めて強い放射線を出す。一部でも露出していれば、周囲は作業もできない状態になる。

 注水ができなければ水が減り、自身が出す崩壊熱で燃料が溶けるだろう。

 この後の予測は難しい。あえて最悪ケースをたどれば、溶けた燃料がプールの下にたまる。燃料中にはウランやプルトニウムがあり、核分裂が連続して起きる「臨界」が心配だ。ただ一緒に溶ける制御棒の成分が臨界を抑制するかもしれない。

 放水に目を奪われているが、1~3号機の炉心(圧力容器)も非常事態だ。

 内部の状況は不確かだが、長時間、核燃料が露出し、ある程度の燃料溶融(炉心溶融)が起きているとみられる。注水は待ったなしだ。

 消防ポンプなどで注水を試みてきたが、圧力容器の圧力は高く、水は跳ね返されて思うように入らない。

 ここで強い電源が復活すれば、原発の大事故を防ぐ守護神とされる緊急炉心冷却システム(ECCS)がやっと働く。高圧の注水で炉が落ち着く「再冠水」状態にしてくれるだろう。

 ただ、ECCSは大丈夫なのか。今回の地震と津波は、頑丈なはずの原発の設備をことごとく壊している。

 炉への注水がうまくいかなかったら――。核燃料は次第に溶ける。溶ける温度はセ氏2800度。どろどろになった状態で圧力容器の下部に落ちていく。周囲には鋼鉄の設備もあるが、1500度ほどでたいていの設備は溶ける。

 これは仮想の話ではなく、1979年の米スリーマイル島原発で実際に起きたことだ。燃料の70%が溶け、燃料の塊が下部に達したが、ここで止まった。まさに大惨事一歩手前だった。

 1~3号機の炉心をスリーマイル島原発の状況に向かわせてはならない。

 最悪シナリオは、溶けた燃料が炉の下部を溶かし、貫通することだ。この段階で止まるかも知れないが、近くにある圧力抑制室まで達してそこの水と接触すれば「水蒸気爆発」が起きる。

 その衝撃と圧力に、圧力容器の外側の格納容器はおそらく耐えられない。大量の放射性物質が大気に出て行く。

 福島第一の最大の問題は、三つの原子炉と二つの使用済み燃料貯蔵プールという「五つの異常事態」が、状況が不明のまま、同時に進行していることだ。深刻だが、今の段階で悪化を止めれば大量放出は避けられる。

 地震から1週間がたち、政府も危機感を深め、さまざまな放水活動が展開されるようになった。これまでは事業者である東京電力にまかせる形が強かったが、やっと社会の力を集める形がとられつつある。この動きを強めたい。(編集委員・竹内敬二)