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放射性セシウム-135、-136,-137

中村省一郎

 

Cs-134、-135,-137はU-235の核分裂生成物に含まれる放射性同位元素で、生成率はそれぞれ6.789%、6.911%および6.733%である。

 

化学的性質は皆同じで、放射性のない同位元素であるCs-133は酸化物として天然に存在する。周期表ではアルカリ金属に属し、還元して金属にすると28Cの融点をもち、水と激しく反応する。高温の乾燥状態で原子燃料から漏れ出した場合はCs2Oの形で出てくることが想像されるが、アルカリ金属の酸化物は水に触れると水酸化物に変化することを考えると、セシウムも水の中や土壌中ではCsOHあるいは塩化物になっていると考えられる。いずれにしても、自然の中や体内においてもNaやKと似た経路をたどると考えてよい。NaやKは活性炭素には吸収されにくい元素であるから、活性炭素濾過はCsの除去には考えられない。一方イオン交換での除去は効果があるかも知れない。

 

原子爆弾投下と、原子炉事故の際にCs-134、-135,-137の3個の同位元素が空気と土地を汚染する。半減期はCs-134が2.1年、Cs-135が2.3百万年,Cs-137が30年と長い。放出する放射線の種類は、Cs-134がベータ線とガンマ線、Cs-135とCs-137はベータ線のみである。

 

これらが出す放射線量はCs-134、-135,-137でそれぞれ13000.001288Ci/gで、これは半減期の逆数に比例している(Ci=curie)。それは1Ciは一秒間に3.7x10^10個の原子が崩壊する数を表しているからである。

 

セシウムによる汚染度を示す時「チェルノビルの近辺では15Ci/km^2以上、キエフでは1Ci/km^2以下であった」というような表し方をする。このことについて考えてみると、1Ciは3.7x10^10 個の崩壊だから、1km^2でこの数の崩壊があったということで、Cs-137は88Ci/gであるから、(1Ci)/(88Ci/g)=0.011gのCs-137が1Km^2に広がっていたことになる。

 

さて人体への影響を考える時は、キューリの単位はそのままでは役にたたず、Svすなわちシーベルトに換算しなければならない。この換算率は同位元素によりことなり、また人体の同位元素からの距離によっても異なる。Sc-137の場合、1m離れたとき換算率は103マイクロSv/hr/GBqで与えられている。ここでBq(ベクレル)は1崩壊/secであるから、とキューリーの関係は

 

1Ci=一秒間に3.7x10^10個の原子が崩壊=3.7x10^10Bq

   =3.7x10^10Bq/(10^9Bq/GBq)

   =37GBq

 

汚染が1Ci/km^2の場所で、一人が一年に照射される量をSvで推定するために、まず1Ci/km^2を1m^2あたりに直すと、

 

1Ci/km^2=1Ci/10^6m^2=10^-6Ci

 

大雑把に人間が地上1mの高さにいたとして、その1m^2で一年間に起こる崩壊は

(10^-6Ci)x(365x24x60x60)x(37)GBq/(Ci).sec

=19.4GBq.sec = 0.0054Gbq.hr

 

これに換算率をかけると

 

(103マイクロSv/hr/GBq)x(0.0054Gbq.hr)

=0.55マイクロSv

 

これが、1Ci/KmのCs-137汚染地域でうける放射線の量である。