福島原子力発電所3月13日の状況と考察

 

福島原子力発電所には第一原子力発電所と第二原子力発電所の二つがある。それぞれに多数の原子炉プラントを含んでいて、事故のニュースを聞く時に最低限の知識がないと非常に分かりにくい。そのため、それぞれの原子力発電所の原子炉プラントと名称を次に示した。

 

第一原子力発電所

原子炉

原子炉形式

運転開始

定格電気出力

1号機

沸騰水型軽水炉

1971326

46.0キロワット

2号機

沸騰水型軽水炉

1974718

78.4キロワット

3号機

沸騰水型軽水炉

1976327

78.4キロワット

4号機

沸騰水型軽水炉

19781012

78.4キロワット

5号機

沸騰水型軽水炉

1978418

78.4キロワット

6号機

沸騰水型軽水炉

19791024

110キロワット

7号機(計画中)

改良型沸騰水型軽水炉

201310予定

138キロワット

8号機(計画中)

改良型沸騰水型軽水炉

201410予定

138キロワット

 

第二原子力発電所

1号機

         原子炉形式: 沸騰水型軽水炉

         運転開始: 1982420

         定格電気出力: 110.0キロワット

2号機

         原子炉形式: 沸騰水型軽水炉

         運転開始: 198423

         定格電気出力: 110.0キロワット

3号機

         原子炉形式: 沸騰水型軽水炉

         運転開始: 1985621

         定格電気出力: 110.0キロワット

4号機

         原子炉形式: 沸騰水型軽水炉

         運転開始: 1987825

         定格電気出力: 110.0キロワット

 

すなわち第一原子力発電所には1~6号機(プラント)、第二原子力発電所には1~4号機がある。

 

3月13日付けのインターネット情報によれば第一原子力発電所では、3/11 1~3号機が稼動中であったが、地震のため運転中止した。4~6号機は定期的点検のため運休していた。第二原子力発電所では4機が全部稼動中であったが、地震とともに停止した。

 

その後の経緯と現状については、不正確なニューズも出回っているが、信頼できる情報源は電気新聞とウィキペヂア()である。

 

テレビニュースでは、第一原子力発電所には1号機へ海水の注入を画像でみせていた。炉の圧力容器の蓋が開いていて炉心の中まで見せていたが、燃料棒は入って居ないし、第一事故時にこれは絶対に不可能な画像である。アナウンサーも何のことやら分からないまま原稿を棒読みしていたのであろう。それから用語の使い方もいい加減で何のことか分からないのが多い。

 

さて、炉の格納容器についてであるが、その形は図が見つからないのでよく分からない。しかし一番外部に見える角い建物は建屋と呼んでいて、吹き飛んたのはそのかべであった。炉の格納容器はその中にあって、あついコンクリートでできているが、見えないので形はわからない。

 

さて今後どうなるかであるが、現在第一原子力発電所の1号機と3号機に海水を注入している。1号機では成功しているようだが、3号機では炉内の圧力が高くて注入に成功して居ない。

 

もし緊急事態が現在おこっていなくても、しかも炉が停止されていても、全出力の5%の熱は発生しているから、緊急冷水ができなければ、燃料棒の露出は時間の問題である。さらにプールに保管されている使用済燃料もおなじ問題がある。つまり使用済であっても何年も熱を出し続けるから、その冷却装置が停止すれば、燃料棒は過熱状態になり溶融のおそれがある。使用済燃料にはプルトニウムの含有量が大きいから、ある意味では炉心の燃料棒よりも厄介である。

 

第二原子力発電所でも全機で緊急冷却が支障をきたしている。そのために近傍の住民の避難が行われている。

 

水素爆発についてはこれまで説明しなかったが、水素は2つの経路で発生する。一つは放射線で、水が放射線の影響でHとOに分解し、H2とO2になる。通常運転では、一次冷却系に酸素水素再結合装置があって、常時再結合により水にもどされる。二つ目は燃料棒被服のジルコニウム合金が非常に高温で水あるいは蒸気に接すると水が分解してH2とO2になる。これは燃料が露出する事故の時(LOCA)のみに起こる。したがって、水素爆発は冷却水が減り燃料が露出したことを意味している。

 

当局が今後行うべきことは冷却水の補給である。海水も仕方がない。また炉の圧量が高くて水が注入できないのなら、蒸気の放出も止むをえない。

 

しかし、放射の放出がわずかだから安心しろとか、溶けた燃料棒はわずかだから安心だというような発言は、無責任極まりない。なぜなら、東電の努力で多分は冷却水の供給に成功するであろうが、複数の炉で間違えば炉の溶融まで一歩のところに来ている。これだけ多数の原子炉が一度にLOCAをおこしたことは歴史になく、原子炉発電は安心だといわれてきたのに、それを信じ込んできたのはとんでもない誤算であった。極度に危険な状態が何年も続くことは間違いない。

 

以下に電気新聞の記事をコピーしておく。

 

2011/03/13

http://www.shimbun.denki.or.jp/news/main/images/20110313_01_img.jpg

 

原子炉建屋の屋根と最上階部分の壁が崩壊した福島第一1号機(東京電力提供)

11日午後2時46分に東北太平洋沖で発生した国内観測史上最大の地震により、東京電力福島第一原子力発電所1号機(BWR、46万キロワット)は、国内初の炉心溶融とみられる事象に至る甚大な被害を受けた。津波により電源を使う冷却系が故障し、炉内の温度が上昇。電源のいらない非常用復水器を使った冷却、消防車による注水で対応したが、炉内水位が下がり続け、燃料が溶け出した。原子炉内で発生した水素が原子炉格納容器の外で爆発し、原子炉建屋の屋根と最上階部分の壁が吹き飛んだ。ただ、圧力容器、格納容器は無事だった。

定格出力一定運転中だった福島第一1号機は、東北地方太平洋沖地震によりタービン、原子炉が自動停止した。自動停止した際は外部電源で非常用炉心冷却装置(ECCS)を動かすことになっているが、今回は外部電源を確保できず、非常用ディーゼル発電機も予備を含めて4台故障した。原因は大津波による浸水被害とみられる。

すべての交流電源を喪失した同号機は非常用復水器で炉内冷却を試みたが、炉内の水温は下がりきらず、高温による蒸気の発生で水位低下が続いた。12日には炉内の水位が燃料集合体の頭頂部から50センチのところまで下がり、その後は最大で1メートル70センチまで低下した。

モニタリングカーの監視で核分裂生成物であるセシウムが検出されたことから、燃料集合体が冷やされずに崩壊熱を持ち、燃料を覆う被覆管から溶け始めたとみられる。炉内の温度上昇に伴う蒸気発生により、原子炉格納容器の圧力も上昇した。圧力を下げるための措置として、同号機は12日、国の指示により放射性物質を含んだ空気を外部に放出した。同日午後2時半には原子炉格納容器の圧力低下と外部での放射性物質が確認され、圧力降下措置が成功したと判断した。

だが、同3時36分頃には原子炉格納容器で発生した水素が原子炉建屋内に漏れ出し、酸素と反応して、原子炉建屋上部の壁を破壊する爆発を起こした。原子炉格納容器に影響はないが、同建屋の鉄板ははがれ、トラス構造がむき出しになった。この爆発の前の同3時29分には、人の年間線量限度に匹敵する毎時1015マイクロシーベルトの放射線量が計測されているが、爆発との関係はわかっていない。

外部から調達した電源車を使って冷却系の復旧を目指したが、復旧のめどが立たなかったため、同8時20分には国の指示により海水を注入し始めた。炉内に海水を送り込むのは異例中の異例。その後に中性子を吸収し、核分裂反応を抑えるホウ酸も注いでいる。13日午後1時頃、水位は燃料上部1.7メートルまで上昇したことを確認している。

【福島第一、第二原子力 これまでの動き】

11日

(午後2時46分) 東北太平洋沖地震により福島第一1~3号、第二1~4号自動停止

(午後7時3分) 政府が初の原子力緊急事態宣言

(午後9時23分) 福島第一の半径3キロ以内住民に避難指示

12日

(午前5時44分) 福島第一の避難指示対象を半径10キロ以内に拡大

(午前7時45分) 福島第二の半径3キロ以内住民に避難指示

(午前9時すぎ) 福島第一1号の原子炉格納容器圧力を下げるため開弁作業開始

(午後2時すぎ) 保安院、福島第一1号で燃料破損が起きたとみられると発表

(午後3時29分) 福島第一で敷地境界の放射線量が制限値を越える。開弁成功と判断

(午後3時36分) 福島第一1号で直下型の揺れ。爆発で原子炉建屋天井部が損壊

(午後4時17分) 原子力災害特別措置法15条に基づく特定事象と判断

(午後5時39分) 福島第二の避難指示対象を半径10キロ以内に拡大

(午後6時25分) 福島第一の避難指示対象を半径20キロ以内に拡大

(午後8時20分) 福島第一1号圧力容器に海水とホウ酸水注入開始

(午後10時15分) 地震発生に伴い福島第一1号の海水注入を中断

13日

(午前1時23分) 福島第一1号の海水注入を再開

(午前5時10分) 福島第一3号で特定事象と判断。開弁準備を開始

(午前8時20分) 福島第一で敷地境界の放射線量が再び制限値を越える

(午前8時41分) 福島第一3号で開弁準備を完了

(午前9時8分) 福島第一3号圧力容器に真水の注入開始

(午前9時20分) 東電、福島第一3号で開弁による蒸気放出を確認

(午前9時25分) 福島第一3号にホウ酸水の注入開始

 

 

 

中村省一郎 3-13-2011