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ガイガーカウンター

中村省一郎

 

福島原発事故の影響でガイガーカウンターを買う人が急増し、日本ではどこも売り切れになったというニュースを聞いた。アメリカではまだまだ買えるが、店によっては福島原発事故で需要が増えたので、在庫が戻るまで注文は受けないという店も出てきた。

 

さて古いガイガーカウンターには、R(Roentgen)の桁で計れるものと、mRの桁で計れるものがある。前者は軍で原子兵器にかかわる人たちや原子力事故専門家が使うためのもので、一般市民が福島原発事故で増えた程度の放射線の強度を測るには後者でなければならない。新しいガイガーカウンターは、テレビのリモートくらいの大きさに作られていて、Svが単位になっている。

 

日本で売られているものは日本製、中国製、米国製があるようだ。米国では、米国製のほか多いのがロシア製。これはチェルノビル事故を経験したソ連、とくにウクライナ、で発達されたものである。値段は高い(5万~10万円)。

 

アメリカ製の中古品はかなり出回っており比較的低価で入手できる。1950~1980にかけて製造されたものであるが、非常に強固に作られていて、現在も多くが使用されている。修理が容易であることも利点である。しかし注意しないといけないことは、いくつかの型があり、高レベル放射線用と低レベル放射線用があることである。前者はCDV715、717、718、720を含み、0.1R/hrから500R/hrを測定できるように設計されていて主な用途は原爆の放射能検出である。原発事故現場の非常に放射レベルの高い場所では役に立つであろう。一方、後者の低レベル放射線用はCDV700型で、バックグラウンドレベルも含み0mR/hrから50mR/hrまでの非常に低レベルを検出できる。これはSvに直すと0mSv~0.5mSv/hr(あるいは0~500Sv/hr)に相当する。原発事故現場の外で用いるならCDV700型でなければ役にたたない。もしCDV718が見つかれば、この型は1990年代に作られて機種で、0.01mR/hrから10000R/hrのひろい範囲を測定できる。測定単位はRまたはmR,つまりレントゲンあるいはミリレントゲンが用いられている。ガイガーカウンターが図れるのはガンマ線とべータ線にかぎられ、これらの放射線ではR=remであり、rem=0.01Sv(または100rem=1mSv)であるから、換算は困難ではない。

 

さて、ガイガーカウンターを使うには、まずバックグラウンドの照射の値になれないといけない。バックグラウンドの平均は1.5~3mSv/yrで、時間あたりの値に換算すれば、0.17Sv/hr~0.37Sv/hrの範囲である。

 

バックグラウンドの照射の約半分は宇宙線によるもので、ガイガーカウンターを机の上においておくと、スピーカーからカチ、カチカチ、という音が聞こえてくるのはそのためである。後の半分は、土壌や建材からの放射線、また個人的な所有物や食べ物からも放射線がでている。たとえばレンガや御影石、また台所の調理台が石で出来ている時はかなり多くの照射量が出る物もある。食べ物ではバナナ、ブラジリアンナッツ、代用塩の塩素カリ。また海抜の高いところ、たとえ登山、飛行機で高い照射がある。瀬戸物の上薬にウランなどの放射性の物質を用いたものもある。さらに、石集めの趣味のある人はウランやトリウム鉱石を知らずに集めていたりすることがある。ガイガーカウンターを入手すると、このような家の周りでなにがどのくらいの放射線を出しているか詳しく調べことがガイガーカウンターの練習に役立つ。

 

ポケットに入るようなガイガーカウンターを持っていれば、野菜や魚を買うときに、手早に放射線の強さを調べてから買うかどうかを決めることもできる。このようなことが出来るためにも、平素からガイガーカウンターを使い慣れ、読みの単位や照射量と安全性の関係につきよく理解しておくことが必要である。