日本もみじの試み

 

英語で日本もみじのことをJapanese Mapleといい、略してJMと書くこともある。学名はAcer Palmatum の次にその固有名、たとえばSangokaku(日本語で珊瑚閣)とかBenihime(紅姫)、が続く。同じ名を付けられるのはまったくのクローンでなければならず、挿し木か接木による以外に同じ名をつけてはならない。

 

その理由は、日本もみじの子供というのは実にさまざまで、親の性質を受け継がないものが多いからである。一本の木から実った種を蒔いて見ておどろくのだが、多数の芽が出てもどれ一つ他のと葉の形と色がおなじものが見つからないくらい、みな個性があり親の木と異なる。こんなに種から出てきた子供のそれぞれ形が違う植物を見たことがない。

 

ある説明によると、JMの親の木はsingle motherみたいなものであるという。実はこれは非常にアメリカ的な表現である。多くの子供のいるアメリカの低所得者の母子家庭では子供の父親がみな違い子供の顔や性格が極端にばらばらなことが多い。JMの母親の木は同じでも花粉は他のところから飛んできたり、蜂が運んでくるので子供の父親はみな違うと言いたいのである。JMがアメリカの浮気なsingle motherと同様に扱われることに抵抗を感じはするが反論の根拠もみつからないのである。

 

JMの種の一つの特徴は、非常に発芽しにくく、たいていの人は1~2度試みたら、投げ出してしまう。幸い私は発芽を成功させる秘密を見つけた。それは種を取るタイミングと種を撒くまでの保存の仕方にある。おかげで今年の春は約100個の種を蒔き、ほとんどに芽を出させることに成功したのだが、その後がよくなかった。

 

というのは、芽が出るまでは屋内であったが、いつまでも屋内というわけにはいかない。霜が降りなくなったころ外へだしたところ、何者かに次次と抜かれてしまい、30本くらいに減ってしまった。野鼠か栗鼠だろうと思うが証拠はないので本当の事はわからない。かじる訳でもないに、ただ抜いて行くのである。JM、特に赤い色の種類の幼い木は幹も葉も真っ赤で美しい。それを抜いてゆくのは、遊んでいるとしか思えない。数日かけて、大きな箱をこしらえ、網戸用の網で蓋をつくり、やっとその被害は収まった。

 

JMをたくさん育ててどうするかという質問がでると思うが、目的のひとつは接木の台木に用いることで、もし接木に成功して出来すぎたら売ってしまえばよいので心配はない。

 

JMを増やすには挿し木という方法もある。これも試みているが非常に困難である。どうすれば成功するかはどこにも書いていない。何種類ものJMの挿し木を試みているが、成功したのは珊瑚閣という名前の緑色の葉のJMだけである。かといって、ほかのが失敗という結論は未だでない。根がなかなかでないだけで、挿した木は何週間も生きているからである。

 

中村省一郎

6-22-2011