2011

西 村 三千男 記

交流抄「東工大・科学史サロン&化学史学会」

 

金城徳幸先生(東工大特任教授)

過日(2022.7.29)東工大・科学史サロンに伊藤一男さんと共に参加した。

終了後、思いがけず司会〜世話人の金城徳幸先生(東工大特任教授)から教授室へ招か

れた。当日の講師・小林浩之氏(元三菱油化)と特任教授同僚の堤憲太郎先生とを交え

て暫し缶ビールパーティとなった。金城教授夫人も同席。

 

トップバッター伊藤一男さん

 アイソマーズと東工大・科学史サロンとはこのところ奇妙に親密化している。金城先

生は化学史学会の重鎮メンバーであり、東工大・科学史サロンとアイソマーズとを結ぶ

仲立ちをされた。昨年7月、化学史研究発表会で伊藤一男さんが出講された「ドイツ化

学史の旅—1」に金城先生が着目され、東工大・科学史サロン2011の第1回の講師

を伊藤さんに依頼してこられた。伊藤さんが話された当日(2011.4.20)は、

アイソマーズから武山、永岡、藤牧、森田、山本、西村が、他に伊藤さんの古巣、三菱

レーヨンからも数名が聴講に参加、この日のサロンは異例に盛り上がった。これを多と

された金城先生から「アイソマーズの皆さん、これから常連メンバーになって下さい」

と云われた。

 

次は武山さん

 更に、今年の化学史研究発表会(2011年7月、弘前大学)では武山さんが「ドイ

ツ化学史の旅—2」を出講、武山夫人、伊藤夫妻、西村夫妻が参加聴講した。金城先生

も演題「紙幣に登場した科学者たち」で講演された。武山さんの発表内容は既にアイソ

マーズ通信・2011年号に掲載されているが、その中で「化学者像は市民の近くに」

という武山コンセプト(スライド11&12参照)が示されている。その裏には、日本

ではノーベル賞受賞者やその他の自然科学者の像や顕彰碑が街中の市民の傍には存しな

いことを指摘している。一方で、金城先生は今回の講演の中で、欧米各国では紙幣に自

然科学者の肖像が頻りに採用されている実例を画像で紹介された。それと対比して、我

が国では「野口英世」(それも一部では不評でもある)と「新渡戸稲造」(ごく短期間で

消えた)の僅か2例のみである。発表会後の非公式な座談の中で、上記の武山コンセプ

トと金城コンセプトがよく似た問題提起をしているな・・・と一同の意見が一致した。

理系を重視する社会、軽視する社会のそれぞれの風潮の差が反映されているのである。

 

同じホテルに投宿して

金城先生ご夫妻とアイソマーズの3組の夫妻とは、偶々同じホテルに投宿した。学会

の前日午後の半日エクスカーションから研究発表会当日の朝昼夜と行動を共にする機会

が多かった。上述の非公式座談は同ホテルのロビーでの会話である。

 

初めての化学史学会

そもそも化学史学会と我々アイソマーズとのの接点は、伊藤一男さんと鶴田禎二先生

であった。その経緯はアイソマーズ通信2009年号に紹介済みである。「洛禎会」で

伊藤さんが我々の「ドイツ化学史の旅」を短くプレゼンされ、その話題が鶴田先生から

当時の化学史学会副会長(2011から会長)、日大教授・古川安先生に伝わり、先方

から我々旅仲間へ面談のご提案を頂いた。鶴田先生のご斡旋で2009.12.21に

鶴田、古川両先生とアイソマーズの伊藤一男、武山、藤牧、西村が面談した。

 

鶴田先生は「紹介はしたけれど、化学史学会に入会しなくてもよい」と仰ったが、4

名は即入会した。古川安先生は「シュタウディンガー、カローザース、喜多源逸」をラ

イフワークの如く研究されている。「喜多源逸と京都大学工業化学の伝統」に関する講演

や論文を多数発表されている。アイソマーズ通信2009年号に掲載した「古川安先生

の業績リスト」参照。

 

第4回化学遺産市民公開講座(2010.3.28、近畿大学)で古川先生が講演さ

れた「喜多源逸—京都大学に工業化学の伝統をつくった男」は伊藤一男さんが訪阪聴講

した。

 

化学史学会機関誌「化学史研究」第37巻第1号(2010年)に掲載された古川安

先生の論文「喜多源逸と京都学派の形成」をテキストにして、関東アイソマーズ有志で

2010年4月12日「喜多源逸を語る会」を催行した。

 

初めての東工大・科学史サロン

古川安先生が東工大・科学史サロンで喜多源逸(及び桜田一郎)に関する話題提供を

されるとの情報をネットで見つけたが、その時点で東工大・科学史サロンのことを知ら

なかった。そこで東工大ウエブサイトから科学史サロンの事務局に参加ルールなどを問

い合わせ、参加自由、学外にもオープン、事前申込み不要などのルールを知った。どの

様に運営されているかを偵察しようと、2010年第1回サロン(4月23日)に山本

經二さんと誘い合わせて初参加した。当日のテーマは「アーノルド・ベックマンのpH

メーター」(和光大学・内田正夫先生)であった。

 

 その後は年間プログラムを参照し、興味のあるテーマを選んでちょくちょく参加して

きた。上に述べた様に、伊藤一男さんを通じて司会〜世話人の金城先生と次第に親密に

なり、先生の期待に応えようと参加する打率が高まっている。

 

                               (おわり)