民主党大会

 

一週間前の共和党大会にひき続き、9月4日から6日までの3日間民主党大会が開かれた。現オバマ大統領を次回大統領候補に指名する会でもあるが、民主党を代表する人たちが意見を述べる場でもある。第一日目のもっとも重要な大統領夫妻のミシェルオバマの演説、二日目の最重要演説は元大統領クリントン、オバマ大統領の演説は3日目の最後であった。

 

ミシェルオバマは政治的な話には一切触れず、オバマ大統領と自身の生い立ちや経歴、また家庭についてのべた。元大統領クリントンは元大統領の仲ではもっとも人気がある。彼は、なぜオバマ大統領を次期大統領として選ぶことがアメリカにとって大切かを説明した。3日目のオバマ大統領の演説も含めてこれら3人の演説は多くの評論家に高く評価されている。

 

この3人以外の演説でも、共和党と比べると話題が非常に豊富で、過去4年間のオバマの政治や、また将来の政治のあり方について詳しい議論があった。これは共和党大会では、演説者はあまり言うことがなく、自分のことを話したと、最後に一言ロムニーを当選させるよう強調したのと対照的であった。

 

オバマ大統領の演説では、次期の大統領に当選したら行う外交と内政についての詳しい内容を示した。外交についてはブッシュ政権から引き継いだ戦争を完全に終結すること、内政では健康保険制度をさらに改良すること、教育改良に全面的に取り組む、製造業の復活と興隆、失業率の低下、軍需費の削減と政府の負債の削減について述べた。前回の選挙のときの公約を全部果たしたことを強調し、今回の方針も同様に全部果たすことを宣言した。

 

オバマ大統領の演説は控えめであるとの批判が強い。しかし私は非常に的を突いているようにおもう。製造業の廃退は別の記事ですでに述べたように、アメリカの失業問題の根底にある理由である。この問題を解決しなければ、一時的な経済刺激策による消費の増加では長期てきな解決はない。政府が取り組んで根本的な政策を施さなければ、自由経済を主張するだけでは絶対に解決しない。アメリカに売り込み、外注を取っている外国企業はみな国を挙げてしたたかにこれまでのアメリカの自由経済に食い入ってやりたいままにしてきたのである。これらの国の貿易政策はどれも自由貿易ではない。自国とも自国には輸入品が多くは流れ込まないように注意深く障壁を備えているのである。

 

教育問題に関しても、真正面から問題に取り組むことを表明した大統領はいなかった。フィンランドの例でも分かるように、教育問題は国中で真剣に取り組めば解決できる問題である。大統領自身から取り組む意思を示したことに大きな評価をしたい。

 

ロムニー候補は億万長者である。これだけの金をもうけた運営成功の経験者としてアメリカの職を増やし、失業率を減らすといっているが、金儲けの方法として国内製造をやめて外注にすることで多くの会社の経営を立ちなおさせたことでも知られている。彼の政策演説では、外交内政についてほとんど何の説明もない。ロムニーの目指す政治はブッシュ時代に戻ることであることが明らかにされている。キリスト教会、大企業から大きな支持を受けている。しかし、ロムニーの選挙演説や広告には嘘が多いことも指摘されている。何が嘘かは、出版物やテレビ放送の解説を詳しく知らないと分かりにくい。一般の人は、読まず聞かずの人がおおく、嘘が多い選挙演説や広告と鵜呑みにしている人が多いという。実際私自身今回の選挙では両党大会の演説と解説を長時間をかけて聞きいたが退職以前はとてもこんな時間はなかった。

 

オバマ大統領の方針には風当たりも強い。しかし、なぜ他の候補が言わなかったことをいえるのであろうか。その理由は彼がアフリカ人を父親に持つ半外人であることにあるために平均のアメリカ人とは視角が異なるのではないだろうか。また、コーネル大学、ハーバード大学などで学んだ優秀な卒業生でもある。若いときから非常に経済的人種的な苦労を経験してきたこと、また大学卒業後シカゴで黒人社会の弁護士をしてきたことも関係しているであろう。オバマ大統領の考え方は、物事の本質をつかむところから出発してるから、本質を無視しての上滑りなところがないのである〔注〕。

 

注 前回選挙の共和党候補マッケイン氏は、外交政策のことを言い出すととっぱなにアメリカが軍力を使って世界の先頭に立たないからシリアの問題が解決しないと主張する。イランに対しても軍力を使って圧力をかけることを主張する。

 

中村省一郎  9-10-2012