アメリカの教育改革(2)

 

前節ではアメリカの教育問題とその改革がうまく進んでいないことを述べた。どのように改革すればよいかについては、教育に成功している国のやり方を調べ参考にすることである。日本、韓国、中国は教育レベルが非常に高いが、教育制度は英語では詳しくは報告されていないし、報告があったとしても、社会が異なりすぎていて、すぐに取り入れることは困難かも知れない。

 

ヨーロッパのなかで参考になるのはフィンランドである。この国では読み書き数学でOECDのトップであり、文盲率では最低である。フィンランドではこのような優れた教育制度をどの様にして育てたか。

 

フィンランドの歴史は、12-19世紀はスウェーデンに属していたが、1809-1917はロシアに属した自治公国。1917年にロシアから独立したが第二次大戦が終わるまでは戦乱続きであった。1955年NATOに参加、1969年OECDに参加、1995年にEUに参加した。国土はスウェーデン、ノールウェイにはさまれ、北側でロシアに接している。人口は600万人足らずで人口密度は非常に低い。

 

フィンランドの教育改革は1960年代に始まった。それまでは、ロシア時代から受け継がれた古い教育制度で、卒業生の学力は低かった。これは国家存亡の問題として、国をあげて取り組んだのである。

 

その結果できた新しい教育要綱は、以前の1000ページを超えた書類に比べて10ページほどの短いものであった。以前の中央政府の教育介入を全面的に廃止し、教育内容と授業の方法のすべてを各教師の自由にした。その代わりに、教師の徹底的な最教育を行い、修士号に等しい資格に向上させた。クラスの生徒の数は20名程度にした。また教師の給料を高くし、教師同士の経験の交換を盛んにし、授業の内容を高めるための研修時間を大幅に増やした。

 

現在のフィンランドの義務教育では教師が教壇から長い講義をすることはまれで、それぞれの生徒が興味のある勉強を各自のペースで学ばせることが主になっているという。

 

資源がなく、また小国が生き延びていくための知恵を、全国民で搾り出し実行したことが伺える。

 

教育は時間がかかり、成果が出るには長年かかるが、制度を変えることはさほど費用がかからない。フィンランドの成功はアメリカの教育界と政治家にとって大きな参考になることである。

 

中村省一郎 8-31-2012