共和党大会第2日

 

共和党大会第2日目の焦点は副大統領候補のライアン氏である。ライアンの候補者指名受託演説のまえに約10名の共和党所属の州知事や連邦政府要人たちの演説があった。まずジョン・マッケインとマイク・ハッカビーの演説の要約を書こう。

 

ジョン・マッケイン(前回の選挙における共和党の候補) 「現大統領は外交政策で意見を言わず行動もおこさない。イランやシリアには軍隊をだして問題の可決を行うべきである」と非難しひじょうに危険な意見をのべた。これまでの米国の戦争は多数の兵隊を死なせ多額の軍需支出で国を疲弊させたが、マッケインはいまだに軍事力を使うことがアメリカを強くすることだと考えているのである。

 

マイク・ハッカビー(前回の選挙における候補であるが党の指名ではマッケインに負けた) 共和党大会の1週間前に記者会見で「人工中絶はいかなる場合といえども禁止すべきである」と述べ共和党大会への出席を拒否されたエイキン(Todd Akin)の強力な支持者で、共和党大会の数日前に共和党がエイキン氏を除外してはならないとと言う声明をだした。したがって、ハッカビーの演説はこの問題を持ち出して大会を2分するのではないかとの危惧と(野次馬の)期待があったが、ハッカビーはこの点には何もふれず、無事演説をおえた。

 

その他約8名の演説があったが、全部の演説は放送されなかったので詳細はわからない。しかし、ニューメキシコ州の知事スーザン・マルチネッツとブッシュ大統領時代の国務長官コンドリーザ・ライスの演説は立派で感動的なものであった。

 

スーザン・マルチネッツはラテン系アメリカ人の女性で、母親しかいない家庭で育ったが、大学で法律を学び子供の虐待が絡む事件の弁護士となったのちに、現在の知事にえらばれた。マルチネッツが知事に就任当初にあった多額の赤字をいかにして民主党と協力して黒字にしたかを説明し、連邦政府でも同様のことができることを強調した。

 

ライス元国務長官の生い立ちはマルチネッツよりはるかに悲惨であった。黒人差別の非常に強い南部の小さな町で、貧困であった母親はレストランへ子供をつれてゆくこともハンバーガーを買ってやることも出来なかった。ライスはしかし奨学金を得て大学を卒業し、ロシア(ソ連)の情報の専門化になり、後に国務長官に選ばれた。今回の副大統領指名でも候補にあがったが断った。現在スタンフォード大学の教授。

 

ライスの演説では驚くべき見解の広さと深さを示した。国内問題では大統領副大統領候補のロムニーとライアンの主題である経済の建て直しと赤字の減少だけではなく、教育改善、移民法の改善、アメリカが他民族国家であることを忘れてはならないこと、国際外交ではロシア、中国、アラブ国、イランとの関係と問題点、どのような政策を採るかは政権をとった者の決めることであることであるとしながらも、大統領の注目すべき問題を指摘した。演説の最後に(先にも書いた)自分の生い立ちを述べ、貧乏な黒人の少女が国務大臣になれたことはアメリカでなければ有り得なかったと述べた。ライスの演説はこの日の最高の演説であり、出席者に深い感銘をあたえた。そしてこの演説は若い人に希望を持たせ鼓舞する演説であった。

 

最後の締めくくりはライアン氏の副大統領指名の受け入れ演説であった。彼の演説の半分はおばま大統領の非難で、後の部分はかれの生い立ちと、連邦政府の予算のどのような出費を減らすということをはっきりと述べた。しかしよく準備された演説で、また演説の中で述べた個人的な面が若い投票者に良い印象を与えたという意見が強い。

 

共和党のなかにも、スーザン・マルチネッツやコンドリーザ・ライスのように立派な人たちがいることを知ることが出来たことは幸いであった。

 

 

中村省一郎  8-30-2012