産業革命とオランダ

 

オランダは英国とは海峡を挟んではいるが隣同士の国で、双方とも17世紀には海運により富を蓄積した。しかし18世紀には英国ではますます経済と国力が増したのにたいし、オランダは沈滞気味となり、18世紀末には英国と競争できない国になってしまった。

 

その違いの一つの原因として考えられるのは、英国では18世紀初頭から農業革命が起こり、また羊毛産業では機械の自動化が進み、この間鉄鋼生産の技術が向上し、18世紀末から19世紀半ばにかけての産業革命へと進んだことである。農業革命と産業革命は大きなつながりがあると考えられ、経済発展と社会の構造にも大きな影響をあたえた。しかし、オランダでは農業革命も産業革命も起こらなかった。なぜだろうか。その理由として次のような英国との違いがあげられている。

 

(1)英国には石炭と鉄鉱石が産出されるがオランダにはない。炭鉱からは常に地下水をくみ出していないといけないので、ポンプを動かすのに動力が必要である。オランダには炭鉱がないのでその必要がなかった。

 

(2)18世紀の英国では木材の値段が5倍にも高騰し、燃料として石炭を焚くことが盛んになった。炭鉱のないオランダでは、石炭を主な燃料にすることが出来なかった。

 

(3)農業革命は農業地帯の人口密度を減少させ、失業者は都市に移動し、工場での労働者を供給した。オランダでは17世紀以来食料の輸入を商社が効率よくやっていた。

 

(4)オランダには風車が多いため動力といえば風車を使うことを考え、蒸気エンジンを作る意欲が湧かなかった。

 

(5)18世紀のオランダは保守的になり社会全体が沈滞して来て、絵画、文学、科学などの面でも新しいものが生まれなくなっていた。

 

(6)英国には多くの植民地を有し、知的にも経済的にも大きな刺激を与えた。

 

(7)オランダの人口は英国に比べると小さかった。

 

(8)オランダの知的階層の活動は英国のと比べると弱かった。

 

上に書いた項目には異論もあるので、全部を鵜呑みにすることはできないが、オランダの歴史を知る上で参考になるし、また現代の世界の国国の勃興や衰退を理解する上での参考にもなる。

 

英国の農業革命と産業革命については、別の記事にまとめたい。