英国の産業革命

 

産業革命はまず英国で17501850年に起こった。農業、製造業、運搬、その他の産業の大きな変化が起こり、英国の社会に経済的、構造的、および文化的な影響をもたらした。その後、産業革命はヨーロッパの他の国にも波及し、さらに米国と日本でおこり、世界中に伝播した。なぜ産業革命が英国で始まったかということと、英国でどのように産業革命が発展して言ったかは非常に興味のあることである。

 

産業革命が英国で最初に発展した理由のひとつに、英国の法律制度と文化が企業をやりやすくしていたことが挙げられている。特許の制度は英国で最も早く発達していたし、また新しい装置を作って儲けようという機運が高まっていた。他の国に比べ、英国では知能階級が発明ということに非常に興味を持っていた。

 

前記の「英国の農業革命」でも記したように18世紀の英国では農業の発展により国の経済力が高まり、畜産業の隆盛とともに繊維工業が急速に発展していた。繊維工業の生産が需要においつかず、人力から機械への切り替えが急務となり織物機械の発達をうながした。また農業でも、自動種撒き機や耕運機の改良、脱穀機の発達があり、家畜から機械への切り替えが加速した。鉄鋼産業がうながされ、この時代にコークスを用いる溶鉱炉が発達した。さらに蒸気機関が発明されてからは、炭鉱の排水用のポンプがまず蒸気機関で運転されるようになり、やがて19世紀にはいってから交通用に用いられるようになってゆく。

 

一方、農業革命はクローズトシステムへの移行で多くの零細農家を失業させたから、彼らは都会に集まり工業生産労働者となった。しかし、彼らの生活は悲惨であったことが伝えられている。たとえば、彼らの住む工場近くのアパートは下水の施設がなく、使用済の水もトイレの水も道路に向けて流したというのである。

 

蒸気機関は産業革命中に発明され開発された最も代表的な機械である。ジェームズワットの名前が有名だが、彼の蒸気機関は最初1698年にトーマスサベリイによって発明され、さらに1711年にニューコメンにより改良されたものを1763に彼がさらに改良をくわえて効率を高めたものである。ワットの蒸気機関は1気圧をわずかに超える気圧の蒸気を用い、その蒸気をシリンダーのなかで凝縮することで真空が力をだす低圧蒸気機関ともいえる設計であった。19世紀初頭まで、種々のポンプの動力源として用いられた。

 

高圧蒸気を用いる設計も18世紀中に試みられたが、ワットが多数の特許をもっていてそれに触れないで他人が蒸気機関を開発することが困難であったこと、ワットが独占の技にたけていたこと、かれの権威があまりにも高くなっていたことなどが邪魔して、英国では新しい蒸気機関がワット以後長い間出来なくなった。

 

19世紀になってから、高圧蒸気を用いるより近代的な蒸気機関は、ワットの影響の及ばないアメリカで開発され、船の動力として利用され始めた。