イワシのマリネート

 

イワシというのは私の若いときの記憶では、煮ても焼いてもまずい魚の代表であった。そのイワシに関する見方を変えたのは、西洋式のアンチョビとマリネートした生のイワシである。後者は昨年夏にロンドンで、ジミーオリバーのレストランで食べて感心していらい以来また出会える機会を待つようになった。

 

その機会は意外と早くやってきた。というのはつい数日前に、買い物にいった昭子が、イワシの冷凍があったので買ってきたという。よく見ると非常に新しいイワシの冷凍であることが明らかになった。このような目新しい食材を料理するのはいつも私の仕事になる。そこでイワシを三枚下ろしにして、酢に酒、塩、砂糖を加えたものに一日漬けてから食べた。ロンドンのレストランで食べたのに劣らない非常に旨い味であった。

 

酢でしめたイワシを日本で食べるかどうかは知らないが、刺身で食べるというのは、鹿児島市のすし屋で食べたことはあるし、また漁師が取れたてのイワシをすぐに刺身にしてわさびで食べるということを読んだことがある。

 

酢にしめた魚といえば、さば寿司を時々作る。刺身の鮭は好きではないが、鮭を酢にしめて箱寿司にすれば、鱒ずしを思わせる味になる。

 

海外生活では、旨いものを食べさせる料理店というのがほとんどないので、自分で工夫することが必要になり、当然知識も増えるのである。

 

中村省一郎  1-23-012