最初の昼食

 

最初の庭園見学が終わってから、3~40分車に揺られてから、小さな村のレストランにつれてこられた。

食べ物が運ばれるまでのひと時、同行のフランス人の奥さんが、たどたどしい英語で、この村にまつわる猫の話をはじめた。...この村には両親を失った子供がいた。親類に引き取られて育てられたが、さびしがるので猫を一匹飼うことが許された。ところがそれが2匹になり、3匹になり、数年のうちに20匹になった。その年に旱魃が来て、村中食べ物がなくなってしまった。村の人が集まって相談の結果、(フランス人は何でもたべるでしょ、だから)猫をたべることにきめ、食料危機も切り抜けた。だけど2匹だけは生かしておいたから、また猫の数は増えて、元どうりになった...

 

料理の最初は生野菜サラダであったが、一番上に非常に薄切の肉がのっていた。プシュートかとも思ったが、色がずっと濃く、塩味がうすかった。やかて誰かの説明で、其の肉はアヒルの肉を煮てから乾燥し、プシュートのごとく薄切にしたものとわかった。ところがメインデイシュの肉もアヒルの肉であった。

 

食事には必ずワインがでる。東京での失態があるので、絶対にアルコールには手を出さないように決めていたのだが、ワインは2~3杯までは飲んだことにはならないんだ、まーいーじゃーないか、などといわれて、ついに2杯くらい飲まされてしまった。

 

この日の昼食でなぜアヒルが出されたのかはすぐには分からなかった。しかし、毎日別のレストランへゆくのに、3日目を除いては肉は必ずアヒルであった。次の日には晩餐会があったが、またアヒルであった。つまりヨーロッパでは大都会でない限り食べ物の地方色が非常につよい。たとえばプラハの近くではどこのレストランでも蒸しパンを出し、アッヘンでは肉は焼かないで釜で煮込んだのをだす。だからトウルーズ地方では、肉といえばアヒルが主になるのだと納得することにした。そういえば、一度だけれども、囲いの中に何百というアヒルを飼っている農家をみかけた。