平成2573

西 村 三千男

私の心臓手術(その8:名医との出会い)

 

手術執刀して下さったU先生はいわゆる「神の手」を持った名医のお一人だと思う。

大阪のTさんからU先生を「飛びっきりの名医」として紹介されたことは、本シリーズその4 に述べた。U先生とTさんのコネクションを説明するには、外資系石油メジャーの日本法人A社の元社長Kさんが登場する。Kさんは工学博士で、A社日本法人を引退された後も某大学の特任教授等で活躍中である。KさんがU先生に出会った逸話をTさんから聞いている。Kさんが現役社長であった約6年前のこと、Kさんは重篤な虚血性心疾患に罹っていた。東京のこの分野の有力病院5ヵ所で診察を受けたが、その何れもが手術を逡巡してしまい、いわゆる「匙を投げられた」状況に陥った。理由は冠動脈の狭窄状態が酷いこと、自覚しない心筋梗塞で心筋が部分的に壊死して薄くなっていること、腎臓障害があって造影剤の使用が極度に制約されること等であった。

 

困ったKさんは情報アンテナを拡げて、地方の名医の情報も収集するうちに某地方で活躍するU先生に行き着いた。東京から某地方へ赴いて、U先生の執刀で4本の困難なバイパス手術を受けた。U先生はKさんの命の恩人となった。今では、Kさんは家族ぐるみで、心臓病以外の病気でも、何でも彼でも、U先生に診察と治療を頼っておられる様子である。最近も毎週 12 S 病院の外来で腎臓の持病を通院治療中である。

 

大阪のTさんは東京のKさんの公私にわたる親友である。Tさんも工学博士であるが、医療業界に広い人脈を持っている。KさんとTさんが協力して、「神の手」を持つ名医、U先生を首都圏に新設されるS病院の心臓血管外科へスカウトする運動を展開し、成功された。TさんはU先生の患者ではないけれど、因縁浅からぬ仲である。今回、西村をやや強引に紹介してVIP扱いを仕掛ける程に昵懇の間柄と見受けた。

 

Tさんは今年 3 月、某所で西村にKさんを紹介してくれた。その際に、Kさんは西村の勤務した電化とはビジネスで種々交流があり、西村とも一度シンガポールで出会ったことがあると云われたが西村は記憶していない。S 病院ではVIP患者の診察室、待合室は別フロアーとなっている。そこでKさんと西村は偶然何度か居合わせて四方山話を交わしている。

                                (つづく)