北朝鮮の外貨獲得

 

北朝鮮の石油の全部と食料の大半は中国からの輸入であり、そのためには外貨が必要である。一国が貿易で買わなければならない物資はまだほかにも無数ある。そのための外貨をどのように稼いでいるのか。北朝鮮の経済については、ほとんど何も分っていないが、一つの情報源は北朝鮮との交易のために使われている船舶と航空機が事故その他の理由で緊急に他所の国の港や空港に立ち寄ることがあり、そのときに積荷が何であるかを明らかにしないと、協力を得られないため、積荷の内容が明らかになるのである。

 

そのような情報から明らかになってきた北朝鮮の輸出物質とは、北朝鮮で採掘される鉱物、武器、イラン向けのミサイルの部品、麻薬、先進国では国際法で取り締まられている薬物である。最近の情報によると北朝鮮には豊富なレアメタルの資源もあるという。麻薬の一部は韓国と日本にも流されているという情報もある。北朝鮮の船は日本へは近寄れないから、日本海の日本沿岸に近いところの海水中に投げておいて、それを日本側の暴力団の船が拾い上げるというのである。いずれにしても、北朝鮮の外貨獲得は国際法違反の商売で成り立っているようだ。

 

もう一つ外貨を稼げる機会は、DMZのすぐ北に作られたカエソン工業地帯で,

2003年から建設がはじまった南北朝鮮共同経営の工場地帯であった。南北朝鮮の合意のもとに建てられた工場地帯で、経営は韓国側の企業が行い、労働者は北朝鮮側からであった。ここでの北朝鮮側の労働者の数は53000といわれる。韓国側からの職員はDMZを越して北朝鮮に入っていた。しかし、キムジョンウンは4月8日に韓国側からの職員の出入りを完全に禁止し、また北朝鮮労働者も入れなくなった。このようにして南北朝鮮共同経営の工場地帯地帯の創業は完全にとまってしまった。正味の利益はおおきくはなかったもの、将来の発展も完全にとめてしまった。韓国の経営者の損害も大きなものだが、北朝鮮の意図はまったく分かっていない。

 

ソ連が1990年に崩壊するまでは、石油のパイプがソ連から来ており、ソ連との交易も少なくなかった。1990年代は中国は経済発展し始めていたが、今ほどの大きな経済力はなかった。しかしソ連の崩壊と共に、経済が緊迫し始め、カエソン工業地帯の開発は、その打開策として開発がはじまった。技術的にも経済的にも盛況であった台湾が中国と手を結んで中国の発展の推進役に立っていたことがモデルになっていたことは間違いない。この工業地帯は10年間赤字続きであったが昨年の2012年から上向きに変わってきたところであった。また先代のキムジョンイルは国連に協力する姿勢を示していた。その一つはプルトニウム生産用の原子炉を閉鎖していた。

 

一つ確かなことがある。キムジョンイルの行いつつあった自由世界との協力をキムジョンウンは全部壊してしまい、国際信用もなくしてしまった。北朝鮮が今すぐに考えを改めて、平和政策に戻しても、元の絆を取り戻すことは困難であろう。北朝鮮が戦争を始めてもはじめなくとも、北朝鮮の政治体制は不安定性を増すことは確かなことであろう。もし戦争を始めれば、その不安定性がさらに加速的に北朝鮮政体の崩壊に導くことになると予測される。今後の北朝鮮の動きは非常に興味深い。

 

ピヨンヤンを走るバス。さらに多くの写真は

http://www.theatlantic.com/infocus/2013/01/a-look-inside-north-korea/100432/ 参照。

 

中村省一郎  4-12-2013