ミステリー2題

 

1.シルク

PBSMasterpiece Mystery番組では、女性で腕の立つロンドンの法廷つき弁護士の連続ドラマをやっている。場面は法廷でのやり取り、事務所でのボスや仲間との会話と、その弁護士の住まいであり、犯罪や暴力の場面は一切ない。

 

判決は陪審員の決議によってきまるので、検察側も弁護士も、いかに陪審員にそれぞれの主張を信じさせるかで、有罪無罪がきまる。2時間の番組でかなり長いのだが、この弁護士の鮮やかな弁護が面白く、時間を忘れて見てしまった。

 

いくつかの愉快な場面もある。たとえば、強姦の裁判では、決め手は女性が合意したかどうかにかかっている。この女性の弁護士の下で働く若くて独身の男性助手は、あるパーテイーの席で、高価なシャンペンを2個のグラスに注いで別の若くて美人の弁護士に近かずき「合意と不合意の境はどこにあるのだろう」と問いかける。その美人の弁護士の答えが色気があって見ごたえがあるのだが、「Yesなんていう女性がいるかしら、私は言ったことはわないわ」という答えに、男性助手には法廷ではなにを追求したらよいかが理解できなくて困惑する。裁判が始まってみると、かれのボスである女性弁護士はほんとうの拒否ではなかったことを見事に追求してゆく。

 

彼は裁判所の月給が少くて財布はいつも空っぽのためか、盗みの癖がある。先に述べた高価なシャンペンはカウンターから掠め取ったものだし、法廷の休憩時間の間に手に入れた新しい法廷用の帽子とガウンは近くの店から盗んできたものである。女性弁護士はそれを聞いて「おかしな人」といったきり更には追及しない。

 

法廷の判定では本当は罪を犯していても無罪になることがあることを示している。ある窃盗暴行事件の犯人の裁判では、検察側の落ち度がこの弁護士に指摘され、陪審員の判定は無罪となるのだが、裁判の終わった後、窃盗で失われたメダルがこの弁護士に贈られてくる。

 

2.ブレッチレイ サークル

第二次世界大戦から数年後のロンドンで本当にあった12人女性連続殺人事件をもとに作られた連続ドラマである。一向にうだつのあがらぬロンドンの警察を見かねた4人の女性が捜索に乗り出す。そのリーダーは大戦中英国諜報機関でドイツの暗号解読した経歴をもつ。一回めのドラマでは、被害者の失踪に関する新聞報道などから、ブレッチレイ駅を通る汽車と関係があることと、死体破棄がブレッチレイ駅の近傍であることを割り出す。二回めのドラマでは、犯人が列車に乗り込む時間を割り出して、そのうちの一人が実際に犯人をおびき寄せることに成功するが、非常に危ない目にあったのに、取り逃がしてしまう。三回めのドラマでは、犯人はその女性に興味を持ち追い詰め始めるという予告である。一回は約45分で比較的短い。

 

どちらも一見を薦めたい。

 

 

中村省一郎  8-28-2013