陶芸手習い

 

1 ロクロ作りから始める

 

昨年11月から、陶芸教室に通い始めた。毎週一回約3時間。陶芸は奥が深くどこまで到達できるかは分らない。やるにはなるべく高いところに到達したいが、年も年なので少し急がなければならない。そこで電気窯を小中一個ずつを入手した。小さい電気窯は新品を買ったが、中型のは中古を見つけデトロイト郊外まで出かけて受け取ってきた。さらにロクロがないと話にならない。電気窯もロクロも新品で買うと計3000ドル程度になりばかにならない。そこでロクロの部品を中古で買って自分で組み立てることにした。

 

回転軸と回転盆は手動用ロクロの中古がeBayで見つかったので120ドルで入手、それに電気ドリルを回転動力として用い、滑車とベルトで回転数を落とした。電気ドリルは指の力で回転数が変えられるので、これを足で踏めるように細工して一応出来上がった。電気ドリルはジージーという雑音が出るがこれは我慢する以外にない。計170ドルで完成したから極安で文句は言っていられない。このロクロのおかげで練習が進み40個以上の練習作が出来た。

 

一つ出来上がるごとに少しずつ形がよくなる。これらを小さい電気窯で素焼きにし、さらに釉薬をかけてから本焼きをするから、何種類もの練習が重なる。中型の電気窯は大きなものを焼くか、多数の小物を同時に焼くときしか要らない。それに220Vの電源の工事が進んでいないのでまだ使っていない。同じ教室の生徒で、家で毎日練習してくる生徒は他にはいないようであった。

 

ところが一月半ばになって、電気ドリルの調子が悪くなり、軸がすべってロクロが回らなくなってしまった。新しい電気ドリルに取り替えるのも一法であったが、同じことがまた起こることはほぼ確実である。滑車軸を差し込んで、ドリルの針を噛ませるように締め付けることに無理があるからである。

 

そこで市販の1/4馬力110V交流モーターを購入したのだが、その後に大きな苦労が待っていた。問題は交流モーターはAC周波数で回転速度が決まる。たいていのモーターは約1800RPM(rotation per minute)で、一秒に30回転。ロクロの回転数は一秒に1回転前後で、しかも可変であることがのぞまれる。回転数を30分の1に落とすことは2組の滑車と2本のベルトで行う以外にない。しかし回転数を自由に変えるにはどうすればよいか。答えを得るために数日調べまくったが、結局電源の周波数を変えるしかなかった。周波数変換器は三菱製のが230ドルで手に入ることが分ったので注文した。これまでの、ロクロの費用は計約500ドルで3倍に膨れ上がったが、それでも新品よりはるかに安い。

 

滑車、ベルト、モーターは全部取り付けが終わり、今周波数変換器待ちである。周波数変換器なしで動かすと丁度一秒に1回転くらいで、昨日大きな深皿を作ってみたところうまく出来たので、このままでもやっていけそうである。しかし込み入った細工のときはもっと回転数を減らしたい時がくるので、周波数変換器は必要である。

 

もう一つの伏兵は足ふみスイッチであった。ロクロを使うときは両手はふさがるので、足ふみスイッチを使わなければならない。これもインターネットで注文し、取り付けはいとも簡単。ところがいざオンにしてみると、モーターから音は出るが回転しない。そのうちに足ふみスイッチからきなくさい臭いがたち始めた。そこで足ふみスイッチを分解してみたら、スイッチの本体は碍子で出来ていて、中央の5mmくらいの円柱空間に黒い1mm厚くらいの円盤が何十枚も重ねて入っていて、足を踏むと電極がそれらの接触を行い、さらに締め付けることで電気抵抗を小さくしていた。円盤の材質はわからないが、これに電気抵抗があり、モーターへの電圧を低下させていたのだ。そこで、円柱空間の長さより少し長く鉄棒を切って、円盤を全部除いてからそこへ入れた。これで、足ふみスイッチはOn/Offを行うようになった。

 

(手製のロクロ。構造物はすべて木製。あわせ作業が便利である。)

 

 

 

注 eBayでの買い物はたいていは競り市で勝つことを意味する。何度かやっているうちに上手になった。その秘訣というのは、競りの締め切りの一分前まで手を出さず、そのときになってそれまでの最高の値段から十分幅のある根をつける。これで失敗してももう一度討ってでる時間がある。多くの場合、競りに勝ちそうな人はこの時間に値の動きをみつめているものだが、締め切り一分以内の攻撃には対処できず、結局私の勝ちになる。相手が非常にあわてて対処しようとした気配が、インターネットの画面からも分る。勝つのは悪くないが、必ず勝つというのは少し罪なような気もする。

 

中村省一郎   2013-1-30