5  電気炉の火入れ

 

入手した2個の電気炉の一つは小さなもので、小さい湯飲みなら4個入る。これを買った理由は、小さなものを何度も焼いて、素焼き本焼きの結果を速く知ることが出来、釉薬のテストにも適している。陶芸教室では、成型して乾燥した作品を提出してから、素焼き本焼きが完成するまでには4週間はかかる。自分の炉を使えば、その期間は2日くらいに減るから、釉薬の出来不出来を調べるには実に便利である。もう何回も火を入れた。

 

もう一つのはかなり大きく、内径が45cm、内側高さが60cm近い。これの火入れはそう簡単ではなかった。第一の理由は、電源が220Vで、ドライヤーの差込を使うことにはしたが別の部屋なのでそこまで配線が必要で、コンクリートの壁に穴をあけ、太い電線を通さなければならなかった。だから最初の火入れは小さい炉よりも2月遅れた。大きな皿や壷など、かなり大きな成型物がたまっていたので、最初の火入れでは電気炉に30個くらいを詰めてスイッチをいれた。素焼きでは、重ねるようにしてぎっしり詰めてもよいのである。しかし厄介な問題が待っていた。

 

というのは、温度が上がるとかなりきつい臭いが立ち始め、1時間もしないうちに家中の火災警報器がいっせいに鳴り始めた。直ちに火災警報解除をしないと消防車がやってく。その後、炉を置いてある地下室の窓や、外へ出る戸を開いて、空気の入れ替えを行った。外は-15Cくらいの風の強い寒い夜であった。結局家中の空気も入れ替えたので、寒さに震え上がった。地下室に窓や出入り口があるというのは、我が家は坂の上に建っているので、地下室といっても裏から見ると一階なのである。

 

粘土には有機物と無機物両方の不純物の混入があるし、温度が上がると粘土自体が化学的変化を起こしてガスを発生させるのである。臭いを文字で表現することは困難であるが、硫黄と塩素ガスが混ざっているように思えた。炭酸ガスはもちろん含まれていただろう。

 

電気炉には、廃棄ガスを抜くための装置を付けることが望ましいことは元々知ってはいた。しかし小さい炉では何の臭いもしなかったことと、陶芸教室のはるかに大きい電気炉には煙突はついてなかったので安心していた。しかし、このときに入れた粘土の量は小さい電気炉に入れる粘土の約50倍の勘定になり、桁が2桁近く違っていたことになる。数日後、陶芸教室に行ったときなぜ煙突がつけてないのか聞いてみたら、そこの天井は3階くらい高く、また空気が外から自由に出入りするような隙間だらけの構造で、ガスが出てもすぐに薄まるので臭いも出ない云う。

 

では今後どうするか。一つは、その電気炉を車庫に移すことである。このことは最初から何度も考えたが、2台車の入る車庫も昭子の車がその半分を占めていて、残りは芝刈りのトラックターとその付属品、停電のときの使うための自家発電機、工作台が置いてあり残りの場所は少ない。それに厄介なのは、220Vの配線である。二つ目の案は、排気用の送風機で炉から空気を吸い出して、煙突から外に送り出す措置をつけることである。これも、煙突をつけるためには、壁に穴を開けなければならないし、炉の横腹に穴を開けて吸引用のダクトを取り付ける作業も必要になる。今のところ第二案を進めることにし、約2週間後に終える予定である。しかし、かなり熱の出る炉(4000Wで4-5時間)を夏に地下室で使うのはいやであるから、夏には車庫に移さなければならないだろう。