核弾頭

 

北朝鮮は昨日、核攻撃を始めるとき韓国と日本をまず標的にする、と声明を出した。一方、北朝鮮が本当に核弾頭ミサイルを飛ばせるのかどうかについての議論が交わされている。

 

北朝鮮が原子爆弾を所有していることには議論の余地がないが、ミサイルの核弾頭は軽量でないといけない。もしこの技術が開発されていないとすれば、北朝鮮が原子爆弾の重量は6ないし10トンの範囲であろう。一方ミサイル弾頭は2トン以内が必要である。(広島長崎に落とされた原爆は10トン級)

 

どういう意味なのかを理解するためには、原子爆弾の原理から始めなければならない。原子爆弾の中心部は約10Kgの濃縮ウラン235あるいは濃縮プルトニウム239の球形の固まりで、金属ウランあるいは金属プルトニウムの密度は非常に高いから、体積にするとソフトボールくらいの大きさでよい。しかし、いきなりそのような大きさのウランまたはプルトニウムのボールを作ることはできない。なぜなら、直ちに核反応が始まるからである。製造と運搬が安全に出来るためには、そのボールを2個あるいは3個に分けて作製し、いざ起爆というときにそれらの部分を一個の塊に集合させる。

 

仮に2個の部分にわけて作るとすれば、円柱の容器の中に、一部分は円筒の一番奥に、もう一つの部分は内側に隔離して置く。その手前に火薬をしかける。二個の半球形のウランあるいはプルトニウムを隔離しておくのは、しっかりした材質で通常は必要な距離を保つが、高圧で押されると非常に薄くなり核連鎖反応の邪魔をしないような材質がえらばれる。起爆の時に火薬を発火させると、圧力で2個の部分は合体し、超臨界に達し核反応が起こって、原子爆発となる。二個に合体したウランあるいはプルトニウムの中で核反応を開始させるためには中性子を出す中性子源を置いているかも知れないし,置いていないかも知れない。というのは、中性子源を故意に置かなくても宇宙線あるいはウランまたはプルトニウムのごくわずかの自己分解で中性子は存在しているからである。いったん核の連鎖反応が起これば、その速度は指数的に増大する。爆発が起こればその瞬間に核反応は停止するので、爆発までに出来るだけ熱エネルギーと中性子密度が高くなっていることが、原子爆弾を成功させる鍵になる。

 

原子爆弾の起爆前の安全のためには、2個よりは3個に分離しておいたほうがより良い。この場合、原理は2個の場合と同じであるが、3個が圧力で外から押されて合体し球形になるように設計される。球形の中心に3個にある距離に隔離したウランあるいはプルトニウムの塊を置き、その外側を火薬で包む。

 

いずれにしても、原子爆弾の外側は、火薬が爆発したとき、内部の圧力が高くなってもすぐには破壊しないような厚い金属が用いるため重量が大きくなる。原子爆弾は濃縮度10%くらいのウランあるいはプルトニウムでも可能であるが、濃縮度が低いほど全体の重量が増える。したがって、軽量の原子爆弾を作るためには100%に近い濃縮度が望まれる。濃縮のためには、多段の遠心分離濃縮装置が必要である。北朝鮮の原子爆弾が何%濃縮を用いているかは不明である。

 

もし北朝鮮の現在の原子爆弾の重量が軽量でないとしても、軽量の原子爆弾の開発まで長い歳月がかかるような困難な技術ではない。すでに出来ている可能性は非常に大きい。

 

中村省一郎  4-13-2013