電子メールが突然使えなくなった!

大澤 映二

 

 2013年のゴールデンウィーク後半に入った54日土曜日、突然電子メールが使えなくなった。プロバイダーはAOLで、去年からMS Officeに入っているOutlookを接続ソフトに使っているが、開こうとすると、ポップアップが出て来て、AOLアドレスのパスワードを聞いてくる。ところが、前の晩まで問題なく使っていたパスワードが間違っているという返事が返ってくる。

何しろ1990年代にE-メールが普及し始めた頃から、多分20年以上AOL一本槍で来ているので、学会、研究、商売などの交信相手がべらぼうに多く、ここで放り出すわけにはいかないが、元来インターネットは得意でないのでお先真っ暗に見え、車で事故をやった時と似た暗澹たる気分になった。しかし、最近中村省一郎さんが似たトラブルに巻き込まれたと聞いていたので、アイソマー通信に中村さんが寄稿しておられた文章を探し出して読むと、極めて冷静に対処しておられる様子が解り、励まされた。中村さんの文章の中にも出てくるが、AOLは対応が悪いようなので、WikipediaAOL関連の情報を読んだり、AOLサービスのHPを開いてみたり、通り一遍のことはあらかたやって作戦を練り、休みが明けてから集中的に対処したら、1日半で解決した。終わってみれば、何でもないことだったが、今回の事件のお蔭で、AOLの内情やマイクロソフトの見直しなど、興味深い事柄に出くわした。考えてみると、我々の世代はAOLが多く、似たような事件で困った方も多いと思う。今回の経験を簡単に纏めて、ご参考に供したい。

まず7日朝AOLサービスに電話したら、ユーザーのトラブルに対応する部署はないから、アドレスを変えるしかないと言われた。中村さんも同様な対応をされたと書いてあったので、驚かなかったが、直ぐ下で述べるように、実はAOLは別の対応をすることが出来た。なぜ最初のコンタクトで、正しいアドバイスが出て来なかったか? 嘗てAOL全盛期の21世紀初頭には、世界中に3000万人の有料会員を擁して、Time, Warner Brothers, CNNなどを傘下にもつ世界最大の複合企業だった。日本でもこの頃はNTTドコモが資本参加した。しかし、ITバブルがはじけてから急激に衰退し、AOLジャパンは、AOLアジアやADSL回線事業会社であるイー・アクセスに事業の主要部分を売却し、20093月には、無料サイトに転落した。現在でもAOLHPは存在し、会員数は40万人と言われていて、インターネット接続事業が収入源らしいが、実態は不明である。衰退期の企業の内情はこんなものだろう。私もベンチャービジネスを始めた時に、全面的にお世話になった千葉県の優良企業F工業が、偶々3年を経ずして赤字に転落したとき、幹部社員があっという間に姿を消し、社内モラルが急激に低下して驚いた記憶がある。今F工業は転げ落ちるように凋落しつつある。

そこで、Outlookを買ったマイクロソフト社に当たってみることにした。Outlookが壊れた可能性があるが、入れ替えの手続きや、データの保存の仕方などで聞きたいことがあったからである。しかし、電話が混んでいて通じないので、メール質問箱を利用して、症状を詳しく書いて出しておいた。翌日までに返事があることになっていたが、夕方になると早くも電話がかかってきて、いろいろと様子を聞いた上で、こちらのパソコンを遠隔操作して見てくれるという。早速やってもらって、結局1時間ほどかけて、AOLのパスワードと受信サーバーの種類を変えられていることが解った。ここで、初めて原因が特定できた。親切なMSの技術者のお蔭である。ソフトを買ったのだから当たり前かもしれないが、無料サービスだった。

つぎにhttp://support.aolservice.jp/を開いて、いろいろと読んでいると、パスワードのリセットが、電話を介さなくても、HP経由で出来ることが解った。予め連絡用として、会社のメールアドレスを知らせてあったので、ここにリンク先を入れておくと言うことだった。一応安全に思われたので、翌8日朝会社で公用アドレスのメールを開いて、リンクに入り、新しいパスワードを入れるだけで、なんとお昼前にはAOL接続が正常に復帰した。

ここで、一体誰が私のAOLメールアドレスのパスワードを勝手に変更したのだろう、という疑問に突き当たる。中村さんが推理したように、AOL内部の異常人間の仕業であるかも知れないが、誰も得をしない。しかし、ウイルスの可能性も捨てきれない。私はウイルス防止のためにMcAfeeに入っているが、McAfee自体が、事業存続のためにウイルスを作って、ばらまいているという話は良く耳にする。

おそらくAOLも、事業が好調の時期には優秀な人間が働いていて、顧客が万一パスワードを紛失しても、安全かつ簡単にリセットする方法を考えて、仕掛けを作っていたのだろう。しかし、会社は下り阪に入ると、優秀な人材は素早く消え失せる。こういう場合には仕事の引き継ぎはうまく行かないだろう。こうなると、私としてもAOLにこれ以上ぶら下がる意欲が失せてきた。今AOL会員40万人は、パスワードの消失のような、些細なことにも対応できない会社に、月々かなり高額な会費を納めている。何故か?今回AOLを調べていて、解ったことは、解約をする手続きが契約書に一言も書かれていないことである。解約が出来ないと、死ぬまで会費を払い続けることになる。しかし、3ヶ月間一度もAOLにログインしないと解約できるという言葉もあった。これからもう少し調べてみて、解ったらお知らせする。取りあえず、私のAOLアドレスにメールを入れてくれた人には、6月末までに別アドレスに切り替えてくれるようにお願いしている。