黒豚

 

数年以上前になるが、鹿児島旅行をしたことがあった。おもな目的は自作の焼酎を鹿児島の焼酎蔵で味見をしてもらうことで、楽しい旅行であったが旅行中意外な発見があった。それは鹿児島の食べ物が行った先々で非常に旨いということであった。その旨い食べ物の一つに、知り合いの家でご馳走になった鹿児島産の黒豚のしゃぶしゃぶがあった。鹿児島市内の回転すし屋では、ネタが超新鮮で最高の味であったし、夕食に友人をさそって入った小料理屋の料理もすばらしかった。阿久根市の旅館では、魚のおおい夕食はすばらしかったが、あまりの料理の数に食べきれなくなり半ばで、もうこれ以上料理を持ってこないでくれと頼んだ。

 

日本では各地で黒豚の肉を手に入れることは困難なことではないだろうが、アメリカでは黒豚の美味しさはごく限られた人たちに限られているようだ。というのは、アメリカの豚はほとんど全部が白豚で、肉には脂肪が混じっておらず硬い。トンカツもぱさぱさしていて舌になじまない。

 

スペインとポルトガルで生産される高級生ハム(ハモンイベリコ)は、食べるとハムが口の中でとろけるような旨さがあるのは、黒豚の肉は神戸肉と似ていて、脂肪が霜降りのようになっているせいである。

 

アメリカでも黒豚を生産しているかも知れないと思い、調べてみたところ、黒豚のよさを理解して、黒豚の飼育に専念している農家がいくつかみつかった。どれも規模が小さく、その肉を買いたい客は前もって予約しておき、そこへ取りに行かなければならない。その場所というのがフロリダとかニュージャーシーなど豚肉を買いに行ける距離ではないので、諦めるしかない。

 

しかし、疑問ものこる。アメリカへくる前に11年間茨城県の日立市に住んでいたが、肉といえば豚肉で、牛肉を食べたことはほとんどなかった。今から思えばそのころたべた豚肉は非常に旨かった。ことろが、その地方の農家で見かけた豚はすべて白豚であった。ということは、白豚にも種類があり、黒豚だけではなく、品種と育て方によっては白豚でも旨いものが出来るのかもしれない。

 

アメリカでも神戸肉が知られるようになり、出回ってきていることからもわかるように、農畜産物の改良が進んでいるので、豚肉の旨いのが出回る時がくるかも知れない。

 

中村省一郎     11−25−2014