平成26年11月5日 西 村 三千男 連載「余談・ドイツ化学史の旅・パート4」 第14回 フライト(Leipzig/München)キャンセル(6/20) 旅の第5日目(6/20)はライプツィヒから最終目的地ミュンヘンへの移動日である。移動を空路にするか、電車にするか旅の計画段階から迷った。電車は所要時間が約5時間と長いし、空路はLeipzig/München間の直行の便数が少ないからである。 <http://isomers.ismr.us/isomers2014/eurotravel.htm>の添付資料参照。 心配していたことが杞憂でなく、現実となった。予定のフライトLH2169(Leipzig発 16:35)が、チェックインした後で欠航となり、約4時間後のLH2171(Leipzig発 20;20)へ変更されてしまった。 予定したフライト LH2169(Lv.16:35) 変更後のフライト LH2171(Lv.20;20) ミュンヘンのホテル(Hotel Torbräu)チェックインは大幅に遅れて23;00頃となった。これは今回の旅唯一の「不運」であった。 ルフトハンザは欠航で長時間待ちとなる乗客に各10ユーロの食券バウチャーを提供した。アイソマーズの仲間は、サンドウィッチやビールなどをそれぞれに購入して、空港ロビーのカフェ・コーナーに何となく集まって、自然、自然に今次の旅の「反省会」を始めた。時間があるので、話題はさらに、旅のパート1(2005)からパート4までの総括にも及んだ。 反省会の話題は主に武山さんが提供した。この旅行から帰国して直ぐに「化学史研究発表会2014@広島」で武山さんが出講する予定であった。旅に出発する前もその講演準備で忙しかった筈である。斯くして、充電満タン?の武山さんは蘊蓄を次々と披露して熱く語った。 「今度の広島総会で、『アイソマーズ仲間から異論が出るかも知れないが・・・』と前置きしてでも、次のように話したい.」 「我々のドイツ化学史の旅はリービッヒ、ヴェーラーに始まる有機合成化学を本流に置いてきた。もう 一つの大きな流れが、ハイデルベルク大学の輝ける三つの星(ブンゼン〜キルヒホッフ〜ヘルムホルツ) の学際研究から始まった分光学、熱学・熱力学、量子論への展開である.」 「ベルリンに移ってからのヘルムホルツの活躍に見るように、この物理化学の流れが他の学問、物理学全般や自然科学全般に波及していったと考える.物理化学の第6講座出身の自分としては、この点を特に重視したい.」 勉強家の武山さんは、折々にこのような熱弁をふるって仲間を刺激してくれる。「旅・パート4」の 大枠を決めた打ち合わせ(2012.11.22)で、オストワルドを推薦した際もそうであった。また、「旅・パート3」の解散夕食会(2010.6.11)で、アルトホーフを紹介した際もそうであった。 斯くして、今回のフライトキャンセルに伴う長時間待ちも有意義に過ごすことが出来たのであった。 (つづく) |