驚きの古本価格

 

アメリカに来て最初の4年は大学で教える一方、ウェステイングハウスのコンサルタントとして週の一度はピッツバーグに行き、私の作り出した数学式の解法を原子炉解析の電子計算機プログラムに組み込む仕事をした。

 

1974年にオイルショックが起こり、アメリカの電力需要が急激し、ウェステイングハウスも原子炉の注文が国内では皆無となり、コンサルタントの仕事も消失した。

 

すこし暇ができたので、本を書き、1977にWileyInterscience社から出版となった。原子核工学科の数値解法の教科書として採用はされたもののこの分野の学生数は多くない。本はあまり売れず、数年後に改定版を出したかったが、出版社は拒否した。そして最近まで、この本のことは長年忘れていた。

 

数日前、アマゾンドットコムで、何気なく自分の名前を入れて検索して見たらこの本が古本として売られているではないか。その値段がなんと$560、元の値段のなんと15倍に近い。

 

古い切手のように、古本の値段が上がるということもあるのだ。当時ウェステイングハウスで用いた数学手法の基礎を書いた本は他にはないので、その希少価値が今求められているのかも知れない。

 

中村省一郎  1-8-2014