STAP細胞論文を読んで
 
  
(新しいものほど上)
 
 
March 08, 2014 10:42 AM
 
武山さん、皆さん
 
quote「科学の世界は、再現性が物を言います。再現されなかったら間違いだし、再現されれば、間違いといった人が間違いになる。現在STAP細胞の作製については、小保方さんや僕ら共同研究者以外、世界中の誰も再現実験に成功していません。STAP細胞の作製が再現されるまで、もしかすると一年以上かかるかもしれない。」unquote
 
これは明後日発売される(定期購読者には配本済みの)「月刊文藝春秋四月号」
掲載のSTAP細胞記事(渦中の山梨大教授・若山照彦氏)p.181からの引用であります。 
 
2/25に学士会館談話室で武山さん/山本さんが話していた文献、
また、その後武山さんがメールして下さった情報を私は咀嚼していませんが
上記の引用文には説得されました。
 
科学者に限定しない一般読者が対象ですから、とても読みやすい8ページです。
 
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西 村 三千男 (Nishimura Michio)
145-0066
東京都大田区南雪谷2-2-4-304
TEL/FAX(03)3728-2823,
 
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藤巻さん
 最後の部分が気になる、と言うところを指摘して頂いて有難うございました。
屈折した受け止め方は、大有りで、研究者が作る人間社会ですから、誰が
早かったかがいつも気になります。大先生方、同僚、若い下っ端を含めていつも
すったもんだをやっています。勝てば官軍の世界です。
 これとは別に、我が国のジャーナリストが、見識が無いというご意見には
まったく同感です。ミーハー的なニュースを作るのばかり熱を上げて、
肝心の大問題には触れないのが、歯がゆくてなりません。
 大澤 映二
 
-----Original Message-----
From: FTI  
Sent: Saturday, March 08, 2014 8:31 AM
To: takeyama takayuki; 伊藤一男; 大澤 映二; 近藤 聖; 中村 省一郎; 中村省一郎; 西村 三千男
Subject: Re: STAP細胞論文を読んで
 
武山さん、大澤さん、皆さん
 
STEPに関して私は特にコメントできる力はありません。
今後の成り行きを注目したく思っています。
 
問題はSTAPに関する報道のあり方です。
TV、新聞、雑誌、世を挙げて小保方さんを持ち上げ、
論文引用の写真に疑わしい点ありと一度発表されると
全て一挙に沈黙ーどころか、スキャンダルとして取り上げんとする
日本の「ジャーナリストと云われる人々」の反応です。
STAPに限った話ではありません。
日本の報道の現実です。
 
それと大澤さんのメールの最後がチョット気になるのですが
小保方さんの発表に対する日本のSTAPご専門の大先生方の
受けとめ方です。
何か屈折したものがなかったでしょうか。
 
小保方さんが燥いだのではなく、上述の通り
「ジャーナリスト」がそうさせたのだと私は思っています。
 
             藤牧 
 
 
-----Original Message----- 
From: takeyama takayuki
Sent: Thursday, March 06, 2014 4:22 PM
To: 伊藤一男 ; 大澤 映二 ; 近藤 聖 ; 中村 省一郎 ; 中村省一郎 ; 西村 三千男 
; 藤牧 靖
Subject: STAP細胞論文を読んで
 
アイソマーズのみなさん
 
武山です。
 
私は現役のとき、「人工臓器」の研究開発をしていました。
 
退職後も、その延長線上にある「再生医学」に強い関心を持って、専門の解説書も集
めていました。
 
山中教授の「iPS細胞」にも関心が高く、アイソマーズの仲間となんどか講演会に
参加しました。
 
その関係で、今回に理研の小保方晴子さん他のNature誌発表の「STAP細胞」の新
聞記事記事を見て、面白いと思いました。
 
 
 
その後、この論文の写真の使い方などに疑念があるとの新聞や週刊誌の報道がなされ
ました。
 
ぜひ、もっと詳しく知りたいと思い、原論文を含め関係論文を集めました。関心のあ
る方はぜひ一緒にご覧ください。
 
 
 
以下、素人なりに私の感じたことを書きます。ご意見をお寄せ下さい。
 
 
 
この分野に門外漢の私には、いきなり読んでも分かりそうもないので、2月25日に刊
行された「日経サイエンス」をまず読むことにしました。
 
 
 
英国Nature誌に載った原文は、次の3点です。文献1は本論文、文献2は追加論文、
文献3は編集者による解説です。
 
 
 
文献1.Nature 505641ページ~647ページ(2014.1.29Articleから
 
<http://www.nature.com/nature/journal/v505/n7485/full/nature12968.html>
http://www.nature.com/nature/journal/v505/n7485/full/nature12968.html
 
 
 
文献2.Nature 505 676ページ~680ページ(2014.1.29Letterから
 
<http://www.nature.com/nature/journal/v505/n7485/full/nature12969.html>
http://www.nature.com/nature/journal/v505/n7485/full/nature12969.html
 
 
 
文献3.Nature 505 595ページ(2014.1.30Newsから
 
 
<http://livasperiklis.files.wordpress.com/2014/01/acid-bath-offers-easy-path
-to-stem-cells_nature-news-comment.pdf>
http://livasperiklis.files.wordpress.com/2014/01/acid-bath-offers-easy-path-
to-stem-cells_nature-news-comment.pdf
 
 
 
幸い文献3は和訳したものがあります。文献4をご覧ください。
 
文献4.Natureダイジェスト Vol.11 No.3
 
<http://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/specials/52143>
http://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/specials/52143
 
 
 
日経サイエンス20144月号16ページから18ページにも同じ記事があります。
(日経サイエンスには、14ページから16ページまで、解説記事もあります。
 
 
 
次に、文献14を読んで、次の7項目について考えてみてみました。
 
 
 
1.なぜ、「体細胞に外部刺激を与えると万能細胞になるのではないか」という作業
仮説を考えたのだろうか?
 
主著者の小保方晴子さんの作業仮説の立て方には、山中教授のiPS細胞研究の作業
仮説と全く違う研究スタイルを感じました。
 
 
 
まず、次の山中先生の最初の論文をご覧ください。
 
 
 
文献5.Cell 126 663~676(25 august 2006) 高橋&山中の最初のiPS論文
 
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0092867406009767
 
 
 
introductionにあるように、山中教授の発想は「先行する研究報告の考察から出た
作業仮説」です。
 
これに対して、小保方さんの発想は文献3および4にあるように、「実験観察から出た
作業仮説」です。
 
その発見は、思ってもいない意外な観察結果が基になっています。セレンディピ
ティー的要素が強いようです。
 
 
 
2.厳しい審査?
 
思わぬ実験観察結果から発した報告だけに、実験が正しく行われているかが、厳しく
チェックされていたと思われます。
 
新聞情報によると、「愚弄している」とか、「人為的操作が疑われる」とか、厳しい
言葉が投げかけられていました。
 
 
 
この論文の提出は2013.3.10で、掲載が2013.12.29です。かなりの時間が経っていま
す。
 
小保方さん自身も、文献3で、
 
“Everyone said it was an artefact - there were some really hard days,”
 
と言っています。
 
また、彼女の上司であり、共著者の笹井さんらまわりの研究者の納得を得るのにも、
5年を要したとも書かれています。
 
 
 
山中教授のiPSについて、2011年発行のブルーバックス『iPS細胞とはなにか』の
18ページに書かれていることが思い出されます。
 
――― 山中さんらがiPS細胞づくりに成功する2年ほど前の20042月、韓国・ソ
ウル大学の黄教授らのチームが世界で初めて「ヒトのクローン胚からES細胞を作っ
た」と発表した。ところが、この成果は後に捏造だったことが判明して、一大スキャ
ンダルに発展した。また同じようなことが起これば、アジアでの研究そのものが信頼
を失ってしまう。山中さんらは「『京都の水を使ったからiPS細胞が出来た』と言
われないようにしよう」と慎重に慎重を重ねたという。―――
 
常識を破るような結論を出すときには、厳しい批判を覚悟しなければならないので
しょう。
 
 
 
3.なお、続く疑念の声
 
小保方論文に対する批判は今も続いています。
 
まず、週刊新潮36日号によると、写真に疑念があると言われているのは次の2点で
す。
 
1.文献1のfigure1i(図1i)のDNAのPCRを使った遺伝子分析の電気泳動の
ポジティブ・コントロールが不自然である。
 
2.文献2のfigure1(図1)のaとbの真ん中の写真が不自然である。これは、マ
ウスによるin-vivo実験です。こちらは、共同執筆者の若山教授も写真の使い方が間
違ったと認めて、Nature誌に写真の削除を申請していると聞きます。しかし、結論に
は関係ないとしています。
 
他のインターネットウエブサイトには、文献1中の実験方法の記載に、他人からの引
用を、その旨記載していないところが1か所あるそうです。
 
これらは、同じ分野の研究者にしか分からないことです。
 
門外漢の私としては、コメントはありません。
 
一般的なジャーナリズは、Natureの審査が厳しすぎると小保方さんに同情する
論調から、論文に種々ミスがあると批判する論調に変わってきたように見受けられま
す。
 
 
 
34日に、日本分子生物学会は、正式に次のようなコメントを出しています。
 
 
 
 
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO67708880U4A300C1TJM000/
 
 
 
4In-vitro(シャーレ)実験とin-vivo(マウス動物)実験
 
大雑把にいうと、この報告はIn-vitro(シャーレ)実験とin-vivo(マウス動物)実験
に分かれます。
 
In-vitro(シャーレ)実験は、特殊な外部刺激を与えると、体細胞が多能性細胞に変わ
ることがあることを示したものです。多能性細胞への変換は、多能性細胞に特異な遺
伝子Oct4の発現で確認しています。その確認にはGFP(緑色蛍光タンパク)の手
法を使っています。GFPは島村脩先生のノーベル賞受賞以来、一般の人にも知られ
るようになりました。
 
in-vivo(マウス動物)実験で確認された大切な結果は、「STAP細胞はiPS細胞やES
細胞では作れない胎盤にもなる」という点です。
 
 
 
5.再現実験は容易か?
 
公表から1か月が経ちましたが、まだ他所での再現実験は成功していません。まだ、1
か月しか経っていないとも言えます。
 
私には細かいことは分かりませんが、文献1にある実験を全部追試し、成功するには
大変時間がかかると思います。
 
まずは、文献1のfigure1を理研以外の研究者が追試、成功すれば大きな一歩
だと思います。
 
そのためには、まず第一に理研内に熟達者を数人作ることが大切でしょう。
 
次は、関心のある研究者を理研に呼ぶか、他所に出前して、細かいテクニックを伝授
することが必要でしょう。
 
STAP法の可能性を宣伝し、興味を持ってもらうことがまず必要でしょう。
 
小保方さんらに今一番求められていることは、この手法を一般に広げることに集中す
ることではないでしょうか。
 
理研はSTAP細胞法の普及を第一に考え、あらゆる努力をされることを期待しま
す。
 
 
 
実験条件をみていると、pHは5.4~5.6がいいとあります。
 
これより低いと細胞が全部死んでしまい、高いと効果がないということで、かなり厳
密にコントロールの必要がありそうです。
 
また、細胞を採取するマウスは生後1週間の若い個体を使っています。このマウスの
管理も大切なのではないでしょうか。
 
なにかマニュアルに書ききれないことがありそうです。
 
「理研、STAP細胞の作製法公開 論文への批判受け」という記事が35日発表さ
れました。次をご覧ください。
 
 
 
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG0501R_V00C14A3EA2000/?dg=1
 
 
 
6.共著者がたくさんいます。
 
文献1の著者は8人と多くの名前が並んでいます。
 
主著者の小保方晴子さんが一番若い立場です。小保方さんは早稲田大学理工学部応用
化学科の出身ですが、博士課程の研究は今回の共著者の一人でもある、女子医大の大
和雅之教授の指導を受けています。
 
 
 
次に実験推進上重要な人は、若松照彦・山梨大教授(元・理研リーダー)でしょう。
 
獣医学が専門で、マウス・クローン技術の先駆者です。この実験のために、数百匹の
マウスを作ったそうです。小保方さんに重要なアドバイスをしているようです。
 
 
 
次がハーバード大のMartin p. Vacanti 教授でしょう。
 
小保方さんはVacanti 教授のところに留学しています。教授から与えられた別の課題
を追及している時に偶然、体細胞に外部刺激を与えると多能性細胞を得る可能性があ
ることを見つけました。STAP細胞発見のきっかけはVacanti 教授によって与えら
れています。
 
 
 
笹井芳樹さんは、理研での小保方さんの上司です。
 
京大医学部出身で以前、京大再生医学研究所所属でした。議論の多かったこの研究に
は、深くかかわっていたように見受けます。
 
 
 
大和雅之さんは女子医大先端生命医科学研究所教授です。
 
東大理学部出身で、小保方さんの博士課程の指導教官です。
 
女子医大先端生命医科学研究所の所長は、岡野光夫教授です。細胞シート工学で世界
的業績を挙げている方です。
 
早稲田大学理工学部応用化学科の出身です。
 
女子医大と早稲田大学は医工融合研究拠点「東京女子医大・早稲田大学連携先端生命
医科学研究教育施設」を持っています。
 
 
 
ちなみに、文献5の山中教授のiPS細胞の最初の論文の著者は、高橋講師との二人だ
けでした。なぜ二人だけだったか?
 
前掲のブルーバックスには次のように書かれています。
 
―――研究室でこの成果に貢献した研究者はほかにもいた。しかし共同研究者にする
のは泣く泣く断念した。
 
「万が一、成果に誤りがあったとき、ほかの研究者を巻き込むわけにはいかない」
 
山中さんはそう考えたのだという。
 
今、山中さんは
 
「この研究に携わったほかの研究者も載せておけばよかった」
 
と話す。―――
 
 
 
7.理研
 
つぎに、理化学研究所発生再生総合研究センターの紹介を示します。
 
 
 
次をご覧ください。
 
http://blogos.com/article/79387/
 
 
 
理研の理事長は野依良治氏で、センター長は細胞接着因子カドヘリンの発見で有名な
竹市雅俊氏です。
 
 
 
理研の発生・再生科学研究センター(CDB)の活動全般にアドバイスする外部評価委
員会を持っています。
 
委員長のオースティン・スミス英ケンブリッジ大幹細胞研究所長です。
 
STAP細胞に関するスミス教授のコメントは次の通りです。
 
「再現性の判断は、時期尚早」と。(36日朝日新聞朝刊)
 
 
 
次をご覧ください。
 
http://www.asahi.com/articles/DA3S11013791.html?iref=comtop_pickup_01