平成2785

西 村 三千男

 

連載「余談・ドイツ化学史の旅・番外編」

 

第1回 「ドイツ化学史の旅・番外編(英国)」の発端

 

20156月、「化学史の旅・番外編」として英国(LondonGlasgow, Edinburgh)を旅した。いまや慣例となっている「余談=こぼれ話」を連載させていただく。筆者にとっては、この連載が、後日〜後年ちょくちょく読み返す「旅の備忘録」にもなる。旅仲間にも、同じ意味で多少のお役にたったかもしれない。旅仲間以外の読者には旅情の一端のお裾分けとなれば幸いである。

 

今回の旅の発端は、伊藤一男さんが2014830日付けのメールに記述された通りである。下に全文を引用添付する。メールの日付にご注目。「第11回化学史研修講演会(2014.8.23)」から1週間後である。この講演会には我々の関心にピッタリの講演「幕末のロンドンにおける薩長留学生と化学の邂逅」by菊池好行先生(総合研究大学院大)が計画されていた。当日参加した旅のコアメンバーが講演会終了後懇親の席で次回の旅の相談をし、旅のリーダー伊藤さんを使嗾したのである。この旅を敢えて「英国化学史の旅」とは呼ばない。何故なら、この旅の目的が「19世紀ドイツ化学史」とその影響下で巧みに発展した「我が日本国の化学史」の史跡探訪だからである。

 

From: 伊藤 一男                                         Sent: Saturday, August 30, 2014 11:46 AM                           To: Nishimura Michio ; takeyama takayuki ; Fujimaki ; Keiji Yamamoto ; 大澤 映二 ; "木下 嘉清((Y.Kinoshita))" ; 文野 ; 中村 省一郎

Subject: Re: 次回の化学史の旅は英国

皆さん

先のミュンヘン・ホフブロイハウスにおける「ドイツ化学史の旅」解散式の際、私が「次はロンドン」と口走った途端、早くも議論が沸騰・発散しそうなので、西村さんに背中を押され、以下にその背景などについて述べさせていただきます。

1)なぜロンドンか?ーーーリービッヒ学派の影響が色濃く反映されている
*リービッヒが英国の要請に応えて農芸化学、環境問題のためにしばしば渡英している。
*直弟子のホフマンを20年間の永きに亘ってロイヤル・カレッジ・オブ・ケミストリーに派遣した。
*リービッヒの弟子の一人にロンドン大学のウィリアムソンがいる。彼は日本の近代化学発展にも多大なる貢献を為した。
(長州、薩摩からの密航留学生の世話、明治初期に桜井錠二を指導、弟子を日本に派遣)

2)なぜグラスゴーか?ーーー産業革命発祥の地で、明治時代に多くの日本人科学者が留学している
*長州からの密航留学生のひとり・山尾庸三がこの地で産業技術を学んだ。昼は造船所で働き、夜はアンダーソンズ・カレッジに学び、グラスゴー大学との人脈を形成した。
(彼は帰国後工部大学校(のちの東大工学部)設立に尽力)

3)訪問先候補
<ロンドン>
*ロンドン大学(薩長留学生の記念碑あり)
*旧ロイヤル・カレッジ・オブ・ケミストリー
*ブルックウッド墓地(ウィリアムソン墓碑、客死した薩長留学生墓碑)
<グラスゴー>
*グラスゴー大学
*旧アンダーソンズ・カレッジ
*ネピア造船所跡(山尾庸三が勤務)

4)その他の訪問先/観光地/時期/所要コア日数
*皆さんからのご意見をお待ちしています。特に、ロンドンに滞在し、精通されている藤牧さんのご意見は欠かせません。

 

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   伊藤 一男
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(つづく)