平成27925

西 村 三千男

 

連載「余談・ドイツ化学史の旅・番外編」

 

11回 古賀節子氏(青山学院大学名誉教授)の新著

 

古賀節子著「英国留学生の道標―維新四藩士がつないだ日英交流」

中央公論事業出版(20150420日発売)

 

本書は、前回述べた武山さんの帰国直後のメール(6/21) 有力参考資料2件見付けました」のうちの1件である。その内容は、我が「化学史の旅・番外編」の第1日目「ブルックウッド墓地探訪」とピッタリ重なるものである。

 

幕末に英国留学した「長州ファイブ」と「薩摩スチューデント19」がユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのA.W.ウイリアムソン教授に師事した時期とほぼ同時代のこと。彼らの他にも海外に学んで祖国の近代化に貢献しようとする若者達がいた。彼らの「志」は薩摩スチューデントらと同じであったが、密航するなど準備不足のまま渡欧した4名の藩士(長州藩、徳山藩、土佐藩、佐賀藩、経歴も渡航時期も別々の4名である)が、生活費不足と病魔のために志を遂げることなく英国の地で客死した。困窮する彼らを師弟関係にはないウイリアムソン教授や他の英国人が人間愛から無償の支援の手を差しのべた。彼らの死後、ブルックウッド墓地や墓碑の手当てをしたのもウイリアムソン教授の配慮によるものであった。

 

4名のうち佐賀藩士・袋久平は本書の著者・古賀節子氏の大叔父に当たる血縁者であった。1980年代にブルックウッド墓地に日本人の墓碑が発見されてから、日英の多くの関係者の尽力で同墓地の一角に4藩士の記念碑が建立され、1998年に除幕式がおこなわれた。更に2007年に近傍にウイリアムソン教授ご夫妻の墓碑を発見した。日本人関係者が感謝と尊崇の念を込めてこの墓碑を改修し、併せてご夫妻の顕彰碑を4藩士の記念碑に隣接して建立した。それらの除幕式は2013年に挙行された。

(つづく)