平成27 2 1

西 村 三千男

iPS細胞再生医療シンポジウム」で聴いたiPS細胞とガン化リスク

(〜武山さんの報告の尻馬に乗って)

 

武山さん報告の通り過日(2015.1.21)武山さん、山本さんと「iPS細胞再生医療シンポジウム」(主催:JST、共催:文科省)を聴講した。iPS細胞が出現した2007年当時からiPS細胞はES細胞に較べてガン化リスクが大きいと懸念されていたので、その後の研究の進歩と「ガン化リスク」に注意して聴いた。武山さん既述の通り、今回もシンポジウムは大盛況で、iPS細胞再生医療の実用化を待ちかねている患者さんたち多数が聴講していた。西村は2008年以来、このテーマのシンポジウムを「追っかけ」ている(末尾に聴講歴をリストアップ)が、今回は「進歩顕著なり」との印象を強く受けた。

 

「ガン化リスク」について印象に残った幾つかのポイント


1.高橋政代医師(理研プロジェクトリーダー)(iPS細胞移植による加齢黄斑変性の治療):当該の網膜色素上皮細胞は本来的にガン化リスクが極めて少ない。
2.江藤浩之教授(血小板製剤の開発):血小板は‘核’の無い細胞であるからガン化リスクはゼロである。
3.その他のテーマではガン化リスクに最大限留意して研究している。

4.パネルディスカッションで高橋政代リーダーの発言:ヒトiPS細胞が出現した2007年当時の印象でES細胞に較べ、iPS細胞は総じてガン化リスクが大と思われているが、研究レベルは格段に進んでいる。総論ではなく、各論的に「XXXiPS細胞のガン化リスクは・・・」と個別に議論する段階に来ている。
5.パネルディスカッションで山中伸弥所長の発言:ガン化リスクに関して霞ヶ関(文科省?厚労省?)からの指令で幾つかのiPS細胞のDNAの全解読も実施した。ガン化リスクを評価する基準が世界中何処にも存在しないので、判定できない。

6.パネルディスカッションで山中伸弥所長の発言:iPS細胞ストックが実現すれば、ガン化リスクを確認済みの他家由来の細胞で治療することになる。
7.パネルディスカッションで江藤浩之教授の発言:ガンの免疫療法のNKT細胞をiPS細胞から作成するテーマに、数年後の治験を目指して、iPS細胞研究所の仲間のチームが取り組んでいる。

 

 

iPS細胞関連シンポジウム 聴講歴リスト

2008.3.8 @川崎産業振興会館 (KASTフォーラム主催)

 アイソマ^ズ山本さんと聴講。会場で藤牧さんとバッタリ出会った。

 KAST理事長・藤嶋昭先生が座長をされた。

川崎市長が挨拶の中で「この会場にノーベル賞候補がお二人・・・」と述べた。

藤嶋先生も毎年ノーベル賞候補としてメディアに紹介されている。

2008.4.15 @津田ホール

(毎日新聞社主催、英国大使館、スコットランド国際開発庁共催)

    「iPS細胞研究の展望と課題」

 アイソマーズ武山さん、藤牧さんと出席。内容は武山さん既述の通り。

2008.6.5 @日経ホール (NAIST奈良先端科学技術大学 主催)

再生医療のこぼれ話(武山さんの尻馬に乗って)その5   山中伸弥教授とNAIST)(http://isomers.ismr.us/isomers2008/stem_cell_annex5.htm)

 西村の単騎参加。NAIST大学のPR行事に協賛して講演された山中伸弥先生が「iPS細胞研究は京大に移動する前のNAIST在籍当時に、ブレークスルーした。成功は、苦難の浪人時代に研究の場を提供して下さったNAISTのお陰・・・」と話された。

2009.6.5 @日経ホール (応援団のセコム科学技術振興財団主催)

iPS細胞がつくる新しい医学」

山中先生の独演会。アイソマーズ山本さんと聴講。

2010.10.2 @ベルサール新宿グランドホール(iPS細胞研究所主催)

 アイソマーズ山本さんと2人で聴講。

 CiRA自身が主催して、「一般の方々を対象に丸ごとご報告します・・・」

 という趣旨であった。iPS細胞による治療を待望する患者のために会場前方に車椅子席を広く取って、講演の第二部Q&Aでは患者さんの質問に山中先生が懇切丁寧に答える感動的なシーンもあった。

2012.6.17 @パシフィコ横浜メインホール (文科省主催)

 「iPS再生医学研究の最前線」第4回合同シンポジウム

アイソマーズ武山さん、山本さんと3名で聴講。 

会場後方に高校生の優先席をもうけて、Q&Aでも高校生を優先していたが盛り上がりに欠けた。

2013.8.26 @東京国際フォーラム(JST科学技術振興機構主催、文科省共催)

 今回のシンポジウムに先行したキックオフシンポジウム。

 アイソマーズから伊藤一男さん、武山さんと3名で聴講。

ポスターセッションは充実していたが、講演はやや形式的。山中先生は挨拶のような短い講演のみであった。