平成283月 7日 記

平成28727日 修正

西 村 三千男

 

連載「余談・ドイツ化学史の旅・番外編」

21回 ローズピンクの垂れ幕 (People Make Glasgow)

 

 

ローズピンクの大型垂れ幕

 

我々がグラスゴーを訪れた20156月、街中はローズピンクの大型垂れ幕と広告看板が数多くひしめいていた。「大」はビルの外壁看板、垂れ幕から電車やバスのボデー、「小」はレンタル自転車の外装カバーに至るまであらゆる箇所にローズピンクが「所狭し」と溢れていた。試みに、キーワード(banner people make glasgow' )(‘people make glasgow' stock photo)と入力して検索すればグラスゴーのそんな華やぐ姿をネット画像で見られる。

 

‘People Make Glasgow

 

 ‘People Make Glasgow は市のプロモーション運動スローガンである。Campaign slogan またはBranding Toolkitと呼称している。プロモーション運動は1980年代に始まった。スローガンは数年に一度更新しているらしい。現行のスローガンは2013年に設定したもの。この運動は市民運動として市民に呼びかける面と、観光や企業進出で同市に関心を持つ外部の人々に呼びかける面と両面作戦であるらしい。

 

プロモーション運動の背景

 

同市は18世紀半ばに始まる産業革命を技術開発面で支えるエンジンであった。石炭による鉄鋼生産、蒸気機関車製造、クライド河畔に集積した造船業等々の重工業製品を世界中へ供給していた。18世紀、産業革命の前後から工業都市として発展し、人口も急増加した。20世紀初頭には機械産業、造船業で繁栄して、ロンドンに次ぐ英国第二の大都市に成長した。ところが、これらの産業が第二次世界大戦後、急速に国際競争力を失い、人口もピーク時の約半分にまで急減した。世相も乱れて、21世紀初頭には、凶悪犯罪の発生率も高く、不名誉なランキングの上位常連となった。(この点については、旅の準備中に中村省一郎さんから注意忠告されていた)。総合対策が急務となって、この様なプロモーション運動を始めたのであった。

 

                               (つづく)