平成283 7

平成28727 修正

西 村 三千男

 

連載「余談・ドイツ化学史の旅・番外編」

22回 レストランRogano 昭和天皇の御真影

 

 

612()は今回のグループ旅行の最終日。翌日、文野さん夫妻は湖水地方へ、他の3夫妻はエディンバラへそれぞれ追加旅程を計画していた。解団式を兼ねた夕食会にGeorge Sq. 傍のレストランRoganoへ全員集合した。老舗の落ち着いた雰囲気が漂うテーブルで、質的にも量的にも我が舌に馴染めるスコットランド風(?)料理が提供された。お代は8名合計で£180.と、高くもなくリーゾナブルであった。皆が満足したこのレストランを予約したのは、その日の昼間、武山さん−文野さん組であった。多分ロンドン在住の文野さんのご子息の情報に依ったのであろうと推察していたが、実はそうではなく、「行き当たりばったり」であったとのこと。

 

 このレストランは壁に数多くの著名人の来店記念写真を掲示していた。日本でもレストランの壁に有名人の来店記念写真や色紙が掲示されているのを見かけることがある。ウェイターに「日本人の写真はあるか?」と尋ねると「イエス。ヒロヒトの写真があるよ」と案内されたのが「昭和天皇の御真影」であった。それは驚きの事態であった。帰国後にネット検索しても特段の情報は得られなかった。写真はご来店記念のものではなく、国会議事堂の参議院本会議場の玉座(今日でも天皇陛下の御定位置である)で何かの詔書をお読みになる立ち姿であった。

 

 日本の皇室はスコットランドと永年にわたって友好関係にあるといわれる。昭和天皇は皇太子時代にスコットランドをご訪問された記録(1921)はあるが、即位されてからのご訪問記録はネットで見あたらない。また、斯かる庶民的なレストランに昭和天皇がお立ち寄りになるとは考え難い。ストランRoganoの創業は1935年(昭和10年)であるから、即位の後である。時系列から見ても、レストランRoganoへお立ち寄りになるチャンスは無かった。あの写真の存在意義は不明である。添付の当該写真は露出不適正であるが、下部欄外の説明文をとくとご覧あれ。

 

“You can’t imagine the extra work I had when I was a God” (Emperor Showa)

 

                              (つづく)                                                                 

shaka