ピアノ弦の数値解析シミュレイシンの試み

 

新年になったらすぐに行うことの一つとして、ピタゴラス調律について別稿に記したが、もう一つは、ピアノの弦の振動を数学的に解析することである。数学的にと言っても、実際に結果を出すためには数値結果が出ないとならないので、実際の仕事は弦の振動を表す数学式を数値的に解くことになる。

 

弦の振動を表す数学式は一次元空間における時間依存の双極型偏微分方程式であり、空気による抵抗まで考慮すると、非線形双極型偏微分方程式となる。その解法の候補には階差法と時間依存のフーリエ変換法が考えられる。弦振動の波形はサイン関数の重ね合わせであるから、フーリエ変換法のほうが差分法よりも優れているように思える。非線形の処理は、空間部分の積分をすることで処理できるだろう。双極型偏微分方程式を差分法でとくと、誤差に数値粘性による波が混入してくる可能性があってやっかいかもしれず、一方、1次元空間での双極型偏微分方程式にはフーリエ変換法が自然で、誤差が少なくなるように思われる。どちらが良いかは、実際にシミュレイシンを進めてみないとわからない。

 

ピアノの音は専門家にもよく分かっていないことが多い。弦の数値解析シミュレイシンはそういう疑問を解き明かすことが目的である。一方、エストニアの技師が、数値解析シミュレイシンを用いてピアノの最適化を行い、従来より優れたピアノを設計したというニュースもある。ハンマーの形、フェルトの厚さ、速度、力の強度によって、倍音が時間とともにどう変化するかが、数値解析シミュレイシンの結果から分かるからである。

 

弦の数値解析シミュレイシンは数値解析をよく理解していたら、個人の努力とパソコン程度の計算力で達成できる見込みがあるので、希望が大きい。文献調査と数値解析の初期的検討をすでに始めている。