3・18・2003

清酒

 

西村さん

焼酎の最新の情報を集めてくださって有難うございます。乙種が甲酒に勝ち、清酒も追い抜く勢いでここまで変わっていたのか、という驚いています。清酒を造る酒蔵は全国に散らばっているのに対し、乙種は南九州に集中しているので、乙種製造会社の売り上げの伸びはものすごいものでしょう。

 

清酒離れがなぜ起こっているかはよくはわかりませんが、安い部類では非常にいい加減な酒を相変わらず売っていたこと、高級品では吟醸酒がはやったことに原因があるようにおもわれます。伝統的な純粋ともいえる清酒をたやすく手に入れることができなくなったのです。吟醸酒は高価だけれども本当の酒の味がありません。

 

さて、酒造といえは、鎌倉時代から戦国時代は夏でもつくられたが、江戸時代いらい12月から1月に仕込んで3月までには醸造を終えるのが慣わしでした。焼酎はまず酒を造ってそれを蒸留するわけですから、なぜ南九州のような気温の高い地方で、しかも夏でも作れるのかは不思議です。そのなぞの答えは、麹にあります。清酒つくりにはAspergillus Orizaeという種類の麹を用いますが、南九州ではAspergillus Kawachiiという種類の麹を使います。A.Kawachiiというのは、A.Nigar、つまり泡盛を作るときの黒麹の親類で、これを使うと、A.Nigarもそうですが、もろみのなかに乳酸が多量に生成され、腐敗菌を抑えるので、夏でも発酵ができます。諸味は酸味の強いものになりますが、焼酎は蒸留するので、酸味の影響はなくなります。泡盛が沖縄のような暑いところでできるのも、おなじ原理です。

 

南九州では、その地方で大量に生産されるサツマイモをうまく利用する手段として焼酎を造り始めたのが、この地方で乙種の焼酎が盛んに作られるようになったきっかけだそうです。沖縄の泡盛の影響があることも確かでしょう。

 

最後に、ちょっぴり懸念を書きますと、大手が出てきて市場を支配し始めると、これまで小さくても本物を作っていたところがつぶれ、大手はコストを下げるために、いい加減なものを売り出すのではないかという可能性です。何事もあまり早く変わりすぎると、よくないことが起こるのではないかと心配になります。

 

中村