2003.2.17

西 村 三千男 記

「メガバンクの窓口サービスは・・・・・」〜その2〜

 

前回に続いて、我が国の代表的なメガバンクの窓口サービスの悪化を私の体験した

実例で示そう。ややケチくさい瑣末の話になってしまうが、自分の損得を言うのでは

ない。かっては計算が1円合わないだけでも全員で残業して原因を追究したと伝説さ

れる日本の銀行が、ミスに鈍感になり、顧客には不満を抱かせ、手不足から窓口へ出

てくる管理職は業務知識の貧困ぶりをさらしている実態を憂慮するのである。

 

4.貸し金庫で

 

 私が某メガバンク本店で借りている金庫の位置はたまたま右端隅の列にある。貸し

金庫は銀行のキーと顧客のキー2本のキーで開けられる。右端にあるものだけ設計上

の制約でもあるのか2つのうち1つの鍵穴が他の列と勝手違いとなっている。世話係

の女性行員はそれをよくわきまえていてノープロブレムであるが、ランチタイム等で

管理職が担当してくれる場合、彼らは勝手違いを知らなくてキーが挿入出来ずにまご

まごすることが多い。私の方から「鍵穴が勝手違いですよ」と教えることになる。

 

5.シニア定期預金

 

 つい最近まで各銀行に横並びで「シニア(福祉)定期預金」という商品があった。

総合口座を各種年金の受け取り口座に指定すると、その通帳で合計100万円までの

1年定期預金に対して金利を店頭金利プラス1.0%に優遇するのであった。今の超

低金利時代にあってはプラス1.0%は破格といえる。高齢の顧客を囲い込む手段で

もあった。

私は某メガバンク本店に10月末が満期のシニア定期を持っていた。昨秋、そのメ

ガバンクの計算センターから書状が来た。「シニア定期預金は明年1月15日をもって

制度が廃止されます.」と。その通知を本店の定期預金カウンターへ持参して、満期が

来る定期をどうするかを相談してみた。この時も運悪く管理職風の男性行員に応接さ

れた。彼は不慣れらしく隣の女性行員に聞きながらコンピュータ端末を検索したり、

台帳を照合して

「満期後は店頭金利0.03%になります.」、

「それなら、取り敢えず満期日に元利合計を普通預金に入れて下さい.」となった。

満期日の日付の書類を作成し、認印して通帳と併せてその管理職風氏に預けた。

翌日電話で

「昨日のご説明は間違いでした.1月15日以前に満期となるシニア定期はもう1回

だけ優遇金利で継続できます.」

「私はそれを確認するために昨日本店へ出向いたのですよ.」

 

6.マル優

 

 マル優(少額貯蓄非課税)という制度は徐々に縮小されて来たが、高齢者に対して

は昨年末まで残存していた。合計350万円を限度に利息を非課税扱いにしていたの

である。利息が多ければ課税、非課税は意味があるが、今の超低金利では殆んど意味

をなさない。某メガバンク本店のカウンターで管理職風氏に聞いてみた。

「マル優制度が廃止されるそうですが、年内に設定すると今後3年間有効だとか.何か

お勧めのマル優適格商品はありませんか?」

「金利がこんなに低くては非課税の恩恵がありません.それよりもネットバンキング、

外貨預金、投資信託などで少しでも高めの金利をお取り下さい.」

この顧客対応は間違いである。正しくは、彼は次のように答えなければならなかった。

「マル優は今の超低金利では恩恵は無い.しかし制度が存続する3年間の間に金利が上

昇する局面があるかも知れない.年内にマル優枠を設定しておけば、当面残高ゼロでも

金利が上昇すれば、当行のどの商品でもその枠へ入れることが出来る.残高ゼロのマル

優枠350万円を設定されるようお勧めする.」と。

 結局、私はそのメガバンクではなく某証券会社に残高ゼロのマル優枠を設定した。

.

7.ATMの設置台数は減少傾向??

 

 人件費削減のためであろう、どの銀行も振込や振替や入出金の客をなるべく窓口から

ATMへと誘導している。ならばATMの設置台数は増加すべきなのにむしろ減少傾向

にあると見受ける。故障か何かで撤去した後のブースは投資抑制のためか空いたままに

している。その一方で、経営統合したのに支店は統合されずに隣り合ったり、向い合っ

たりしている。支店はさっさと統合して、ATMは増設するのが顧客サービスにも経費

節減にも有効な筈である。腹が立つのは「ネットバンキングに口座開設すれば、ATM

に列ばなくても・・・」と言うコピーである。

 

8.ネットバンキングに口座開設すれば

 

 時間外のATM手数料を無料にする、ポイントやギフトカードなどの各種景品が貰

える、定期預金の金利を優遇すると宣伝している。この優遇金利をよく見るとルーペ

を使わなければ読めないような小さな小さな文字で、3ヶ月とか6ヶ月定期の初回の

みで後は店頭金利に戻ると注記されている。試算するとこの優遇金利の総額は微々た

るものであることが分かる。「看板に偽りあり.」、誇大広告、騙しのテクニックにスレ

スレである。違法性は無いとしても、積極的に誤解を誘う手口は狡猾で下品である。

 

9.外貨預金と投資信託

 

 「資産づくりセット」とか名づけて、定期預金と外貨預金・投資信託との組合わせ

商品を熱心に勧誘している。外貨預金か投資信託を申し込むと、それと同額以内の円

定期預金に上乗せ優遇金利を適用するというもの。これも前項とほぼ同じく、優遇は

初回の3ヶ月か6ヶ月だけで後は店頭金利に戻ることが細字で注記されている。

 

 

銀行はバブル経済期に於ける反社会的な行動を厳しく批判されて四面楚歌である。

今日的には不良債権の早期処理、減損会計への偽りなき対応が求められているのであ

るが、その様な高度の経営課題とは別にルーティンである日々の営業活動の事務処理

さえもが上述の通り甚だ心許ないのである。

日本の働く現場が劣化してきているのは銀行に限らないが「銀行よ、お前もか」と

の思いである。

躍進する中国との競合はコストダウンのみではないのである。

                               (おわり)