夫婦同伴

妻の同窓会に、夫が出席する話である。我が家は夫婦ともに、土佐高校の出身である。田舎の高校のくせに、今住んでいる千葉市付近に、妻の同級生が7人もいる。女が5人、男が2人である。もう7、8年前からだろうか、彼女らが年1回、同窓会を持とうということになった。それも夫婦同伴で。当然、私も参加している。はじめはカラオケなどが中心であったが、最近はおしゃべりが主である。おしゃべりになると、女性上位になる。私は専ら聞き役にまわっている(?)ことになっている。婦唱夫随である。

婦唱夫随といえば、3年あまり前、年金生活に入ってからは、我が家は婦唱夫随体制である。訪問客はほとんど妻の友人である。ホスト役として、私も顔を出し、控え目に(?)座っている。妻の趣味は油絵を描くことである。年に数回、展覧会にも出す。見に行くと、彼女の油絵仲間とも仲良くなる。そういうことで、私は妻の友人とは、ほとんど面識がある。彼女の友人の間では、私の評判はかなり良いようである。

この一年、頼まれ仕事、自分史としての医療材料開発史、祖父母・父母の家族史の執筆やらで、私はパソコンの前に座っていることが多い。妻は友人との付き合いで、外出が多い。電話番は私の役目になる。電話が架かってくると、四つに三つは妻宛である。通話時間で比較すると、この差は驚く程開いてくる。男はどうして長話ができないのだろうか。

長い間、大津の石山で社宅暮らしをしていた。そこで一緒だった人たちとは、夫婦ともども長い付き合いで、毎年一回テニス会を持つことにしている。男同士は年一度の再会を楽しみにしている。女同士はしょっちゅう行き来している。ここでも、やっぱり女の方に主導権がありそうだ。数年前、フランスのリヨンに行って、東レの現地法人の会長宅に数日滞在した。貿易関係のご主人とは、互いに名前は知っていたが、話したことはなかった。ところが、奥さんと家内は何故か仲良しである。それをきっかけにご主人とも付き合い始めた。会社の中の付き合いも、妻を通じて始まる。

我が家は全てこんな調子である。家内の知合いの誰それの誰かがコンサートをすると、キップがまわってくる。音楽にはあまり興味もなく、知識もなかったが、行っているうちに次第に面白くなってきた。牛に曳かれて善光寺参りである。全て婦唱夫随の中で、私の高校同級生千葉在住者の集まりが夫婦同伴で行なわれるようになったのは、ごく最近のことである。妻の同窓会に遅れること、6、7年である。

こういう中で、一つだけ夫の存在を主張できるものがある。アイソマーズの会である。この会だけは今のところ、夫唱婦随である。今のところと言ったのは、意味がある。先日の奈良での集まりで感じたのは、家庭内で主導権を失いかかっているアイソマーズの仲間は、私だけでは無いようだと思えた。何しろ女性の方が、Talk moreである。Talk lesslisten moreと控え目にかまえていると、アイソマーズの主導権も奥さん方に取られてしまうかもしれない。いや、もっともっと奥さん方に沢山出席して頂いて、主導権を取って頂いたら、楽でよいかもしれない。大体、平均寿命は男の方が短く、先にダメになる。アイソマーズも奥さん方に頑張って貰った方が良さそうである。因みに、我が家ではアイソマーズ諸氏の評価は、「楽しく、暖かく、インテリジェンスが感じられ」と極めて高い。いつも二人で、次の機会を待っている。

ふと部屋の隅にある鴨の置物を見ると、雌の方が嘴の分だけ前に出ていた。

(武山高之)